司法書士ライターのTです。
今回は、同じマンションにおいて複数部屋の所有権を相続した場合について解説していきます。
まず、マンションの所有権については、原則として専有部分と共用部分、そして敷地に分かれます。
専有部分とは、一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その目時となる建物の部分をいいます。何を言っているかというと、お部屋の部分ということです。たとえば201号室ならば、201号室のことを専有部分といいます。
なお、マンションの規約で専有部分がどこまでか定められている場合があります。マンション規約として国土交通省で定められた標準管理規約を採用しているマンションであれば、「天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。」といったような定めがされています。
共用部分とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及びマンションの規約により共用部分とされた附属の建物をいいます。マンションのみんなで使うものが共用部分です。
なお、各部屋にあるバルコニーは共用部分とされています。これは、避難の際にバルコニーから脱出できるようにみんなのものとされています。上の例では、201号室のバルコニーを、上の階の、例えば301号室や401号室の住民が避難の際に通ることがあります。そのためバルコニーはみんなのものとされています。
敷地とは、建物が所在する土地及びマンションの規約により敷地とされた土地をいいます。
敷地に関しては、敷地利用権というものが設定されています。敷地利用権とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいいます。201号室で生活するためには、その敷地を通らなければ入れませんから、201号室に入るための土地の権利が敷地利用権です。
201号室と、共用部分、敷地利用権は、原則として分離して売ったりすることはできません。仮に201号室だけ売ったとすると、買主が敷地や通路を利用できないため、201号室が宙に浮いたお部屋になってしまうためです。
マンションの所有者(区分所有者)になると、それらの人で建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成します。マンションにおいてはこの団体を管理組合といいます。
マンションの所有者となった場合、管理組合は強制加入となります。共同住宅ですから、みんなでマンションの自治を行っていくためです。そのため、マンションの所有権を相続した場合、その相続人が管理組合に加入することになります。
マンションにおいては、管理組合の総会が開催されています。これは、株式会社で例えると株主総会にあたります。総会には議決権というものがあります。
議決権とは、総会での票にあたります。
標準管理規約を採用しているマンションでは、規約で議決権割合が定められています。201号室であれば、201号室としての議決権が定められています。
ここで、3部屋相続すると、3部屋分の議決権をもっていることになります。201号室のほか、202号室と203号室の所有権を相続によって取得した場合、その3部屋分、総会での票を持っていることになります。
以上、ここまでが前置きです。長くなりましたが本題に移ります。
誰が相続人になるかについてですが、相続人には順位というものが存在します。
まず、亡くなった方に配偶者(夫や妻)がいる場合、その人は相続人になります。
第1順位として、亡くなった方の配偶者と子(直系卑属)がなります。
第2順位は、子がいない場合で、亡くなった方の配偶者と親(直系尊属)がなります。
第3順位は、子も親もいない場合で、亡くなった方の配偶者と兄弟姉妹がなります。
ここでいう「子」は、子どものほか、孫、曾孫、…と続きます。亡くなった方の子どもがすでに亡くなっていて、孫がいる場合、孫が相続人となり、親がいる場合でも親は相続人となりません。なお、養子は直系卑属にあたるため相続人になりえます。
「親」についても同様で、父母、祖父母、…と続きます。亡くなった方の父母がすでに亡くなっていて、祖父母がいる場合、祖父母が相続人となり、兄弟姉妹がいる場合でも兄弟姉妹は相続人となりません。

上記の例で、「太郎さん」が亡くなったとします。「太郎さん」は被相続人(相続される人)となり、配偶者である「花子さん」、子である「一郎さん」、「二郎さん」が相続人となります。
この場合において、まずは遺産分割をしなかった場合について解説します。
相続分というものが法律で決められており、「花子さん」が2分の1、「一郎さん」、「二郎さん」が4分の1ずつ財産を相続します。
上のマンション3室の例だと、201号室、202号室、203号室の所有権を「花子さん」が2分の1、「一郎さん」、「二郎さん」が4分の1ずつ取得することになります。そしてそれらのお部屋のための共用部分、敷地利用権もついてきます。そのため、「花子さん」「一郎さん」「二郎さん」がこのマンションの管理組合に加入します。
3部屋すべて3人の共有となりますから、この3部屋すべてを3人で管理しなければなりません。貸す場合や売る場合も通常は3人で判断します。
また、標準管理規約では、「住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなす。一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。」といった規定がありますので、3人のうち誰が総会の議決権を行使する人かを決め、管理組合の理事長にお知らせしなければなりません。
次に遺産分割協議を行った場合について解説していきます。
「花子さん」「一郎さん」「二郎さん」の遺産分割協議によって、201号室、202号室、203号室の所有権はすべて「一郎さん」が取得するとされたとします。
この場合、「一郎さん」が3部屋の所有者となりますら、「一郎さん」だけがこのマンションの管理組合に加入します。
お部屋を貸したり売ったりする場合、「一郎さん」だけの判断で決めることが可能です。ただし、お部屋を貸す場合は管理組合から脱退することはできません。管理組合の総会での201号室、202号室、203号室の議決権行使は、「一郎さん」がしなければなりません。
一方でお部屋を3部屋とも売る場合は「一郎さん」は所有者ではなくなりますから、管理組合からは脱退します。
201号室と203号室だけ売って202号室だけ賃貸したいという場合は、管理組合から脱退できません。202号室の所有者であるためです。
このように相続財産にマンション3部屋あった場合はまずは遺産分割協議を行い、誰のものにするか決める必要があります。
もめてしまった場合は、家庭裁判所に遺産分割調停などを申し立てるという手もあります。家庭裁判所において、調停委員が相続人たちの仲介をし、合意できるように話し合いをします。マンション3部屋となると、資産価値が高い場合も多く、もめる可能性はあります。
◆まとめ
遺産分割協議を行い、誰が取得するか決める
貸す場合、管理組合からは脱退しない
3部屋とも売る場合は所有者ではなくなるので管理組合からは脱退する
今回は以上となります。
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