当ブログでは、多彩なジャンルの記事を投稿しています。

事業協同組合における「地区」とは?定める必要性と登記について解説

事業協同組合

福岡の司法書士Tです。

事業協同組合を設立する際には、絶対的記載事項として「地区」を定款に必ず定めなければなりません。これは、組合の活動範囲を明確にするためのものであり、法律上も重要な要素です。今回は、事業協同組合における「地区」の定義や意義、設定時のポイントについて解説します。

事業協同組合における「地区」とは?

地区とは、事業協同組合がその事業を行う地理的な範囲のことを指します。中小企業等協同組合法では、事業協同組合はこの地区については行政区画をもって定めるべきとされています。

事業協同組合における「地区」の必要性

組合の地区を定めることには、以下のような意義があります。

組合員の活動範囲の明確化

事業協同組合の組合員たる資格を有する者は、組合の地区内において商業、工業、鉱業、運送業、サービス業その他の事業を行う小規模の事業者又は事業協同小組合で定款で定めるものとされています。
これは、事業協同組合は、同じ地域や業界の事業者が協力して運営する組織であるためです。組合員の活動範囲を明確にすることで、組合員同士の適正な関係を築くことができます。

事業計画の適正化

地区を設定することで、組合がどの地域で事業を展開するのかが明確になり、計画的な事業運営が可能になります。

公的支援を受ける際の要件

補助金や助成金を受ける場合、対象となる組合の地区が要件として求められることがあります。地区を適正に設定することで、行政の支援を受けやすくなります。

特定地域づくり事業協同組合制度を利用する場合

特定地域づくり事業協同組合制度とは、人口急減地域において、事業協同組合が、特定地域づくり事業を行う場合について、都道府県知事が一定の要件を満たすものと認定したときは、無期雇用の労働者派遣事業を、許可ではなく届出で実施することを可能とするとともに、組合の活動費用について支援を受けることができるという制度をいいます。

この特定地域づくり事業協同組合を設立するための要件の一つとして、地区の適合性(人口急減地域であること等)があります。そのため、地区を定めておかないと、人口急減地域で活動を行っている組合かどうかを判断できなくなります。

事業協同組合における「地区」の定め方

・適切な範囲を設定する
地区は、組合員が実際に事業活動を行う地域に設定する必要があります。広すぎると組合の実態と合わなくなり、狭すぎると新規組合員の加入が制限される可能性があります。

定款に明記する
地区は事業協同組合の絶対的記載事項であり、定款に「福岡県の区域」など地域を記載する必要があります。

変更する場合の手続き

組合の事業拡大などに伴い地区を変更したい場合についてですが、事業協同組合の地区は定款の記載事項であり、変更する場合は定款変更手続きが必要です。

そして事業協同組合においては定款を変更する場合、総会の特別決議(総組合員の半数以上が出席し、その議決権の3分の2以上の多数による議決)が必要です。そして事業協同組合が定款変更をする場合、行政庁(都道府県知事等)の許可が必要となります。

なお、事業協同組合の設立手続きを行う際の「創立総会」では、地区を変更する定款変更をすることはできません。

事業協同組合における「地区」の変更の登記

事業協同組合の地区を変更する場合、以下の手順を踏みます。

・総会の開催と決議
上記のとおり、定款の変更には総会の特別決議が必要です。

・所轄庁への認可申請
事業協同組合の定款変更には、行政庁(都道府県知事等)の認可が必要です。
認可を受けないと定款の変更の効力は生じません。

・法務局での変更登記申請
行政庁の認可を受けた日から2週間以内に、法務局で変更登記を行います。登記の申請には、以下の書類が必要です。

登記申請書

定款変更に関する総会議事録または総代会議事録

定款変更についての行政庁の認可書

委任状(司法書士への登記申請委任)

総代会の決議により定款変更をしたときは、総代会を設けたことを証する必要があるため、上記に加え、事業協同組合の定款を添付しなければなりません。


・管轄登記所(法務局)
主たる事務所所在地を管轄する登記所(法務局)に申請します。

まとめ

事業協同組合における「地区」とは、組合の事業範囲を明確にするために定める地理的範囲です。適切に設定することで、円滑な組合運営が可能になり、組合員にとってもメリットがあります。

また、事業協同組合の「地区」を変更する場合は、定款変更が必要となり、総会での特別決議・所轄庁の認可・変更登記の申請という3つの手続きが必要です。特に、所轄庁の認可を得るまでに時間がかかる場合があるため、早めの準備が重要です。

手続きに不安がある場合は、司法書士などの専門家に相談するとスムーズに進められます。

司法書士ランキング
にほんブログ村 士業ブログ 司法書士へ

タイトルとURLをコピーしました