事業協同組合は、事業者同士が協力し、共同で経済活動を行うための法人ですが、事情により解散を考えることもあるでしょう。今回は、事業協同組合の解散について、その理由や手続き、注意点を解説します。
事業協同組合の解散理由
事業協同組合が解散する理由には、以下のようなものがあります。
- 総会での決議
- 合併による消滅
- 破産手続開始決定
- 定款で定めた存続期間の満了又は解散事由の発生
- 行政庁による解散命令(法令違反などの場合)
総代会を設けている事業協同組合においても解散は総会の決議により行う必要があり、総代会において解散の決議をすることはできません。
事業協同組合の解散手続きの流れ
本記事では、上記のうち総会での決議による解散手続きについてみていきます。事業協同組合における解散の手続きは、以下のように進めます。
総会の決議
解散を決定するためには、総会を開催し、法定多数の賛成を得る必要があります。解散の決議は、総会の特別決議(総組合員の半数以上が出席し、その議決権の3分の2以上の多数による議決)によって行います。
解散の届出
総会での決議、定款で定めた存続期間の満了又は解散事由の発生により解散が決定したら、解散の日から2週間以内に行政庁へ解散届を提出しなければなりません。
清算人の選任
合併による消滅又は破産手続開始決定による解散を除き、組合が解散すると、清算人を選任します。清算人は財産の整理や債務の支払いを行います。清算人は通常、理事がそのまま務めることが多いですが、総会の決議において理事以外の者を清算人として選任したときは、その者を清算人とすることも可能です。清算人となる者がいないときは、利害関係人の申立により裁判所が清算人を選任します。
債権届出の公告
清算組合は、遅滞なく、当該清算組合の債権者に対し、2か月以上の期間内に、その債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければなりません。そして債権者に対し、期間の経過後に債務を弁済しなければなりません。
清算手続き
組合が解散したときは、清算人は、以下の手続きを進めます。
- 財産の整理・売却
- 債務の支払い
- 残余財産の分配
清算の事務が完了した際には、遅滞なく決算報告を作成し、総会の承認を得なければなりません。
清算結了の届出
清算手続きが完了したら、清算結了の登記を申請します。清算結了が完了すると組合の法人格が消滅します。
事業協同組合の解散登記について
事業協同組合が解散した場合は、解散の登記と清算人就任の登記を申請しなければなりません。そして、清算手続きが完了した際には清算結了の登記を申請しなければなりません。以下、登記手続きについて解説します。
解散登記の申請期間
解散が決定した日から2週間以内に、主たる事務所の所在地を管轄する法務局に解散登記を申請する必要があります。
解散・代表清算人就任の登記の必要書類
事業協同組合が解散する場合、解散と代表清算人就任の登記を申請する際に、法務局に提出する主な書類は以下のとおりです。
【必須書類】
- 解散及び代表清算人就任の登記申請書
- 解散の事由を証する書面(総会議事録等)
- 代表清算人の選任に関する書類(就任承諾書等)
- 委任状(司法書士への委任状)
清算手続き中に辞任等により代表清算人が変更となった場合、代表清算人の退任の登記と、新たに就任する代表清算人の就任の登記を申請しなければなりません。
清算結了の登記の必要書類
清算事務が完了したら、清算結了の登記を申請しなければなりません。清算結了の登記により、組合の法人各が消滅します。
【必須書類】
- 決算報告があったことを証する書面(総会議事録、決算報告書)
- 委任状(司法書士への委任状)
債権届出の公告に関する書面は清算結了の登記の必要書類とはなっていませんが、債権届出の公告をしないで清算結了の登記を申請することは認められません。
事業協同組合の解散における注意点
事業協同組合において解散手続きを進める際には、以下の点に注意が必要です。
- 債務整理を確実に行う
債務が残ったまま解散すると、清算手続きが滞るため、負債の整理が重要です。組合に債務が残っていると、清算結了ができません。 - 税務処理を適切に行う
清算期間中も法人税などの申告が必要になるため、税務処理の確認が必要です。 - 組合員への通知と対応
解散の決定を組合員にしっかり伝え、トラブルを防ぐことが重要です。
解散後のことを考えておくことも必要です。組合員であった企業を株主とする株式会社を設立する、一般社団法人を設立して公益認定を目指すなどあれば準備が必要です。別の法人への移行を考えている場合はまずは専門家に相談しましょう。特に、事業協同組合は株式会社への組織変更ができるので、その際の手続きについても専門家のサポートが必要といえるでしょう。
まとめ
事業協同組合の解散は、総会決議や行政への届出、清算手続きなど、慎重に進める必要があります。特に、債務整理や税務処理を怠ると問題が生じるため、適切な手順を踏むことが大切です。
解散を検討している場合は、専門家に相談し、スムーズな手続きを進めることをおすすめします。
また、事業協同組合の解散登記は、解散後2週間以内に法務局へ申請しなければなりません。必要書類を整え、正確に登記を行うことで、スムーズに解散手続きを進めることができます。
解散登記の手続きについては、司法書士などに相談するとよいでしょう。


