株式会社では、取締役は会社経営において中心的な役割を担っています。そのため、取締役が任期の途中で死亡してしまった場合、株式会社としては速やかに対応しなければなりません。
今回は、取締役の死亡に伴う登記手続きや注意点について詳しく解説します。
取締役が死亡した場合の法的な扱い
取締役が死亡した時点で、任期にかかわらず取締役としての地位は消滅します。辞任や解任と違い、取締役会の決議や株主総会の承認を経ることなく、当然に退任します。
そのため、「年月日死亡」として取締役の退任の登記を申請します。
一方で、取締役が死亡した後は新たな取締役の選任が必要となることがあります。亡くなった取締役の相続人が自動的に取締役になるわけではありません。
取締役の死亡に関する登記手続き
取締役の死亡により、会社の登記事項に変更が生じるため、その登記の申請をしなければなりません。
登記の必要性
取締役の死亡は、会社の登記事項に変更が生じたことになります。そのため、取締役の変更登記が必要です。
新たな取締役が就任した場合、取締役の死亡の登記と、新たな取締役の就任の登記は併せて申請が可能です。
取締役の死亡と就任の登記を別々に申請すると、登録免許税(1万円又は3万円)が2回分かかってしまいます。
登記の期限
会社法では、変更があった日から2週間以内に変更登記を行う必要があります。そのため、取締役が死亡した場合、その日から2週間以内に取締役の変更の登記を申請しなければなりません。
登記申請に必要な書類
- 登記申請書
- 取締役の死亡を証明する書類(通常は除籍謄本又は抄本など)
- 委任状(司法書士への委任状)
- 登録免許税(資本金の額1億円以下の場合、1万円。1億円を超える場合、3万円。)
取締役の欠員への対応
欠員が取締役会の成立要件を満たさない場合
定款や会社法で定められた取締役の最低人数を下回ってしまった場合には、速やかに補充選任を行う必要があります。
欠員補充の方法
補充するには、補欠の取締役がいない場合、新たな取締役を選任する必要があります。臨時株主総会を開催して速やかに対応するのが一般的です。
代表取締役であった場合の注意点
死亡した取締役が代表取締役を兼ねていた場合は、会社の業務執行に大きな影響を及ぼします。
新たな代表取締役の選定
原則として取締役は会社を各自代表するため代表取締役となりますが、特定の取締役を代表取締役とする場合は改めて代表取締役を定める必要があります。
- 取締役会設置会社では、取締役会で新たな代表取締役を選定
- 取締役会を設置していない会社では、定款、定款の定めに基づく互選又は株主総会の決議で代表取締役を定める
定款の定めに基づく互選とは、定款で「取締役が2名以上ある場合は、そのうち1名を取締役の互選で代表取締役に選定する」というような定めです。
選定後は、代表取締役変更の登記も必要になります。
死亡した取締役がその株式会社の唯一の代表取締役であった場合、その会社は一時的に「代表取締役がいない株式会社」となります。
実務上の注意点
- 登記の遅延は過料の対象となる可能性があるため、速やかに手続きしましょう。
- 臨時株主総会の招集や開催には、定款や会社法の手続きに則る必要があります。
- 死亡した取締役に関する社内規定や役員退職慰労金制度などの確認も忘れずに行いましょう。
定款等で定めた取締役の員数を欠いているにもかかわらず、新たな取締役を選任しないと、選任懈怠となります。
また、取締役の変更登記の申請をしないで放置すると、登記懈怠となり、過料に処せられる場合があります。
まとめ
取締役が任期途中で死亡した場合、法的にはその地位は当然に消滅し、会社は速やかに登記と補充の手続きを行う必要があります。特に代表取締役が死亡した場合には、業務執行体制を整えるためにも早急な対応が求められます。
登記手続きや株主総会の開催には専門的な知識が必要となるため、司法書士など専門家への相談も検討しましょう。


