2022年に「労働者協同組合法」が施行され、日本でも正式に「労働者協同組合(ワーカーズコープ)」という法人格が利用できるようになりました。しかし、まだ新しい制度であり一般的にはあまり馴染みがない制度です。
この労働者協同組合ですが、実は幅広い活動を行うことができます。
今回は、「労働者協同組合とは何か?」そして「どんなことができるのか?」について、分かりやすく解説します。
労働者協同組合とは?
労働者協同組合とは、組合員が出資し、自ら経営に参加し、そこで働くという仕組みの法人です。つまり、「みんなでお金を出して」「みんなで運営して」「みんなで働く」形の事業体です。
これは営利企業でもNPO法人でもない、「協同」を前提とした新しい法人の形といえます。
具体的にはこちらの記事をご参照ください ⇒ 労働者協同組合とは?その仕組みとメリット・デメリットを解説
労働者協同組合ができること
労働者協同組合を設立することで、以下のようなことができます。
労働者協同組合でできること
自分たちで働き方を決められる
通常の会社では、経営者が働き方を決めますが、労働者協同組合では組合員全員が経営に参加するため、以下のような働き方も実現可能です。
- 子育て中の人が働きやすいシフト制
- 高齢者でも無理なく働けるペースの仕事
- 障害のある方も参加できる配慮ある職場づくり
労働者協同組合における組合員は、全員が経営者でもあり労働者でもあるため、「こうしたい」「こうすれば続けられる」という現場の声がそのまま経営に反映されます。
営利目的の事業もOK
NPO法人との違いの一つは、労働者協同組合は営利を目的とした事業も可能なことです。
- カフェやパン屋の経営
- ITサービスの提供
- 農業や加工品販売
- 書店の経営
剰余金の配当は、組合員が組合の事業に従事した程度に応じて行うことが可能です。
また、利益の使い方もみんなで決められます。利益を再投資してさらに利益を上げたり、労働環境の改善に使うことも自由です。
※出資に対する配当(出資配当)はできません。
小規模な事業者の連携・共同経営
個人事業主やフリーランスが集まり、共同で事務所を持ったり、営業や経理を分担したりするケースも考えられます。
労働者協同組合の活動内容
労働者協同組合を設立して、以下のような活動をすることができます。
地域のニーズに応える事業
労働者協同組合は、地域のニーズに合わせた柔軟な事業展開が可能です。たとえば、
- 高齢者の見守りサービス
- 地域食堂(こども食堂など)の運営
- 空き家活用事業
- 商店街の再生や清掃活動
これらはすべて、「そこに暮らす人たち」が主体となるからこそ、実情に即した事業になります。
地域の課題を解決するサービスの提供
地域の課題を解決するのも労働者協同組合がおすすめです。
・高齢者の買い物支援
・子育て支援(保育園、学童)
・空き家を活用した地域づくり
・障がい者の就労支援
労働者協同組合であれば、地域住民が「こんなことが必要だよね」と感じた課題を、自分たちで事業化することができます。
教育・文化・芸術活動
地域の学習塾、フリースクール、図書館、アートスペースなども、労働者協同組合の形で運営することができます。
また、YouTubeやTikTokなどで最近増えている「ショートドラマ」を作成したりする事業も、労働者協同組合として活動を行うことが可能です。役者、カメラマン、スタッフ全員が組合員となり、みんなが協力して作業を行うことができます。
労働者協同組合に向いている人・地域
労働者協同組合は、次のような方々に向いています。
- 一人ではできないけど、仲間と一緒に地域課題に取り組みたい人
- 起業に興味があるけど、リスクが不安な人
- 自分たちの働き方を自分たちで決めたい人
また、過疎地域や商店街の再生など「地域ぐるみで取り組むべき課題」を抱える地域にもマッチします。
労働者協同組合は新しいかたちの組織
労働者協同組合は、株式会社のように「出資者=株主」が利益を受け取る仕組みとは異なります。利益は、組合員全員で話し合って再投資に回したり、分配したりすることができます。また、NPO法人のように非営利とは限らず、利益を上げることもできますが、その使い方は「組合員の合意」で決めます。
つまり、「自分たちが納得できる働き方や事業運営」を自分たちの手でつくっていけるのが、労働者協同組合の大きな特徴です。
まとめ
労働者協同組合は、「自分たちで働く場をつくる」ための選択肢です。
営利も非営利も関係なく、「地域」「人」「働く」を結びつける新しい法人格として、今後の広がりが期待されています。
そして、労働者協同組合は
- 自分たちで出資し
- 自分たちで運営し
- 自分たちで働く
という、新しいかたちの法人です。
もし、あなたが「こんな働き方ができたらいいな」「地域のために何かしたい」「新しい方法で事業を始めてみたい」と感じているなら、労働者協同組合という形を検討してみてはいかがでしょうか?
地域に根ざした事業を行ったり、誰もが働きやすい職場をつくったり、自分たちの理想の働き方を実現するための柔軟な仕組みとして、無限の可能性をもった法人であるといえます。


