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労働者協同組合を立ち上げた後の運営についてわかりやすく解説

労働者協同組合

労働者協同組合(ワーカーズ・コープ)は、2022年に施行された「労働者協同組合法」に基づいて設立される新たな法人形態です。労働者が出資し、経営に参加し、自らの働く場をつくるという共同の事業体であり、株式会社や一般社団法人等とは異なる独自の運営形態を持ちます。

今回は、労働者協同組合の基本的な運営について解説します。

労働者協同組合とは

労働者協同組合とは、労働者協同組合法によって設立される法人で、組合員が出資し、組合員の意見が適切に反映して事業が行われ、組合員自らが事業に従事することを基本原理とします。この基本原理に従い事業が行われることを通じて、持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とするものでなければなりません。

そして、働く人々が主体となって事業を運営します。一般的な企業と異なり、出資者(組合員)が同時に労働者でもあり、経営にも関与する点が特徴です。令和4年に施行された労働者協同組合法によって設立される法人です。

定義と目的

労働者協同組合は、次の3つの原則に基づいて運営されます。

  1. 組合員が出資すること
  2. その事業に従事すること
  3. 組合員が運営に関与すること

単なる労働者の集まりではなく、働くことと経営に関与することを一体的に行うことが目的です。

労働者協同組合の運営の特徴

組合員による意思決定

労働者協同組合の最高意思決定機関は組合の総会です。総会では、「一人一票の原則」により、出資額にかかわらず全ての組合員が平等に議決権を持ちます。

出資と配当

組合員は出資金を払い込みますが、これはあくまで運営のための資金であり、株式会社のように出資額に応じた利益配当(出資配当)は行われません。利益は原則として事業の維持・拡大や組合員の福利厚生に使われます。

一定の条件を満たせば、余剰金の分配が可能ですが、出資額に応じた配当ではなく、労働への貢献度に応じた分配となります。

労働関係

労働者協同組合は出資者が従業員として働くものです。そのため、その行う事業に従事する組合員との間で、労働契約を締結しなければなりません。

ただし、組合の業務を執行し、又は理事の職務のみを行う組合員監事である組合員については、労働契約を締結する必要はありません。

そのため、似た立ち位置である株式会社の「株主」とは異なり、労働関係法令(労働基準法、労働安全衛生法など)が組合員にも適用されます。

労働者協同組合の設立後の運営

定款の整備と変更

定款には以下のような内容を定めます。

  • 事業
  • 名称
  • 事業を行う都道府県の区域
  • 事務所の所在地
  • 組合員たる資格に関する規定
  • 組合員の加入及び脱退に関する規定
  • 出資一口の金額及びその払込みの方法
  • 剰余金の処分及び損失の処理に関する規定
  • 準備金の額及びその積立ての方法
  • 就労創出等積立金に関する規定
  • 教育繰越金に関する規定
  • 組合員の意見を反映させる方策に関する規定
  • 役員の定数及びその選挙又は選任に関する規定
  • 事業年度
  • 公告方法

定款を変更する場合は、総会の特別決議(総組合員の半数以上が出席し、その議決権の3分の2以上の多数による議決)が必要です。

会計

労働者協同組合の会計には、株式会社にはないような積立金等のルールが設けられています。

準備金

労働者協同組合は、準備金の額として定款で定める額に達するまで、毎事業年度の剰余金の10分の1以上を準備金として積み立てなければなりません。この準備金の額は、出資総額の2分の1を下ってはなりません。

就労創出等積立金

労働者協同組合は、その事業規模又は事業活動の拡大を通じた就労の機会の創出を図るために必要な費用に充てるため、毎事業年度の剰余金の20分の1以上を就労創出等積立金として積み立てなければなりません。

教育繰越金

労働者協同組合は、組合員の組合の事業に関する知識の向上を図るために必要な費用に充てるため、毎事業年度の剰余金の20分の1以上を教育繰越金として翌事業年度に繰り越さなければなりません。

剰余金の配当に関するルール

配当は、組合員が組合の事業に従事した程度に応じてしなければならず、出資配当は認められていません。

また、損失を塡補し、準備金及び就労創出等積立金並びに教育繰越金を控除した後でなければ、剰余金の配当をしてはなりません。

組合員の加入・脱退

組合員の資格は、労働者協同組合が定款で定めた個人です。法人は身体がないため労働できませんから、法人の組合員は認められません。

組合員の加入や脱退については、定款の定めに従って手続きを行います。脱退したときは、定款で定めるところにより、その払込済出資額を限度として、その持分の全部又は一部の払戻しを請求することができます。

法令遵守と報告義務

労働者協同組合も法人である以上、以下のような法的義務があります。

  • 組合員名簿の作成や議事録の整備
  • 税務申告(法人税、消費税など)
  • 労働保険、社会保険の適用・届出
    • 労働者協同組合の組合員は厚生年金保険と健康保険の被保険者となります。 

機関設計

労働者協同組合においては、役員として理事3人以上と、監事1人以上が必須とされています。理事の中から代表理事も決めなければなりません。そして、労働者協同組合では理事会の設置も必須です。

理事とは、労働者協同組合の事業に関する決定などを行う人であり、監事は理事の監査をする人です。

理事や監事は、組合員とは異なり、労働者ではありません。

労働者協同組合運営のポイント

項目説明
意思決定総会が最高意思決定機関。
財務管理出資金の管理、利益の再投資が中心
就労関係組合員は労働者としても経営者としても関与
離脱リスク組合員の退職が組織全体に影響を与えるため、柔軟な制度設計が必要
教育と情報共有組合員全員が運営に関わるため、教育と情報共有が不可欠

まとめ

労働者協同組合は、従来の企業とは異なり、働く人たちが自ら出資し、自ら経営に参加する新しいかたちの法人です。その運営は、民主的な意思決定・適切な財務管理・法令遵守など、多岐にわたる視点が必要です。

しかし、その分「やりがい」や「地域とのつながり」を強く感じられる運営形態でもあります。しっかりとした制度設計と、組合員全員の協力体制を整えながら、安定した運営を目指していくことが大切です。

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