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労働者協同組合は農業に向いている?農業法人とも比較

農業法人

2022年に労働者協同組合法が施行され、新しい法人形態として労働者協同組合が認められるようになりました。これにより、働く人たちが主体となって事業を行う新たな選択肢が開かれました。

では、この労働者協同組合を活用して「農業」を行うことは可能なのでしょうか?

今回は、その可能性と注意点についてわかりやすく解説します。

労働者協同組合とは?

労働者協同組合とは、労働者協同組合法によって設立される法人で、組合員が出資し、組合員の意見が適切に反映して事業が行われ、組合員自らが事業に従事することを基本原理とします。この基本原理に従い事業が行われることを通じて、持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とするものでなければなりません。

そして、働く人々が主体となって事業を運営します。一般的な企業と異なり、出資者(組合員)が同時に労働者でもあり、経営にも関与する点が特徴です。

労働者協同組合は農業をするのに向いている?

労働者協同組合法には、業種の制限がなく、農業もその対象に含まれます。ただし、いくつかのポイントに注意する必要があります。

労働者協同組合を設立して農業はできる?

営農活動自体は可能

労働者協同組合でも農業を行うことは可能です。

農業を主たる事業として、労働者協同組合を設立することに法的な制限はありません。実際、農村地域で高齢化が進み、後継者不足が問題となる中で、農業を行うために労働者協同組合を設立し、共同で農地を耕作するという動きも考えられます。

農業法人とは異なり、農業以外も併せて行うことができる点など、いくつかの利点もあります。

農地の取得・利用には注意が必要

農地の利用にあたっては、農地法の規制があります。

  • 農地の取得には原則として個人または農業法人であることが必要
    法人が農地等の権利を取得するには,農地法3条の許可を受けることが必要です。この場合、農地所有適格法人の要件を満たしていないと農地法3条の許可はおりません。労働者協同組合は農地所有適格法人にはあたらないため、農地を「借りる」形(利用権設定)での対応が現実的です。
  • 農業委員会の許可が必要
    農地を借りて耕作する場合でも、農業委員会の許可が必要です。農地を借りる場合は農地所有適格法人の要件を満たしていなくても可能です。

農地所有適格法人となりうるのは農事組合法人、株式会社(非公開会社のみ)、合名会社、合資会社、合同会社に限られ、労働者協同組合は農地所有適格法人になることはできません

農地を利用しないで農業を営む場合は、農地所有適格法人でなくても問題ありません。

農業経営としての実務対応

農業は季節や天候に左右されやすく、経営面でも高度な知識や経験が求められます。組合員の中に経験者がいるか、外部支援を受ける体制を整えることが重要です。

労働者協同組合で農業を行うメリット

労働者協同組合はみんなが出資し合って、みんなで農業を行うという形態となります。

  • 地域の雇用創出につながる
  • 働き方の自由がききやすい
  • 地域住民による共同経営が可能
  • 補助金・助成金の対象になる場合もあり

注意点・課題

  • 農地を取得できない
    • 農地を利用して農業を行う場合、農地を借りる必要があります。
  • 利益分配の仕組みを明確にしておく必要がある
  • 農作業だけでなく、事務や会計、流通にも人手が必要

労働者協同組合と農業法人の主な違い

項目労働者協同組合農業法人(農事組合法人)
目的組合員が「働く場」を共同で作る(地域貢献や就労支援が重視される)営利目的で農業経営を行う(生産性・収益性が重視される)
構成員(組織)組合員=出資者=働く人(全員が経営と労働に関与)組合員・経営者・労働者はそれぞれ異なる
意思決定方法1人1票1人1票
農地の所有農地を所有できない(借地で対応)一定要件を満たせば農地を所有できる
農地所有適格法人の要件要件を満たさない要件を満たすことが可能
設立手続組合員3名以上が定款を作成し、設立の登記をする農民3人以上が共同して定款を作成し、設立の登記をする

どちらが適しているか?

本格的とは言わないでも農業を行うことを考えている場合は労働者協同組合の設立を検討することも可能です。本格的に農業を行う場合は農業法人を設立する方がよいでしょう。

労働者協同組合が向いているケース

  • 地域の高齢者・子育て中の女性などが力を合わせて農作業をしたい
  • 利益よりも「雇用創出」や「地域貢献」を重視したい
  • 自由な働き方をしたい
  • 農業以外の事業も併せて行いたい

農業法人が向いているケース

  • 規模を拡大して本格的に農業経営をしたい
  • 農地を所有して自社の資産として活用したい
  • 農業に集中したい
  • 出資者や経営者が明確に分かれており、効率的な運営を目指したい

まとめ

労働者協同組合を活用して農業を行うことは、法的にも可能であり、地域活性化の手段としても期待されています。ただし、農地の取得・利用に関する法規制や、組合運営に関する準備は欠かせません。

「地域で農業を守りたい」「仲間と共に持続可能な農業をしたい」と考えている方には、労働者協同組合という選択肢が現実的なものとなるでしょう。実際に設立や運営を検討する場合は、行政や専門家に相談しながら、着実に準備を進めていくことが大切です。

そして、農業法人との違いについて、「農業をやる」という点では共通していますが、目的と運営のスタイルがまったく異なります。

  • 労働者協同組合は「みんなで働く場をつくる」ための共同体。
  • 農業法人は「農業をビジネスとして展開する」法人。

どちらを選ぶかは、あなたが「何のために農業をやりたいのか」によって決まります。
目的や地域の状況、メンバーの構成に応じて最適な法人形態を検討しましょう。

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