司法書士ライターのTです。
今回は生前整理としての遺言について解説していきます。
遺言書とは、生前の最後の意思表示を書面にしたものです。契約書等とは異なり、遺言書は作成にあたっての様式の基礎部分が法律で定められており、それに従っていない遺言書は無効となります。
遺言書を作成する方法による遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。
自筆証書遺言とは、手書きによる遺言書による遺言をいいます。公正証書遺言とは遺言の内容を口頭で公証人に告げ、それを公証人が遺言書として作成する遺言です。秘密証書遺言とは遺言書を封印し存在だけを公証役場でする方法です。
このうち、生前整理としてよく使用されるのは自筆証書遺言と公正証書遺言でしょう。
①自筆証書遺言
自筆証書遺言は、その名のとおり遺言書自体を自書しなければ効力が生じません。
そして、遺言作成者が死亡した後、相続人はその遺言書につき家庭裁判所の検認を受けなければなりません。一方で自筆証書遺言書保管制度を利用した場合、家庭裁判所の検認を得ることが不要となります。この保管制度があるため、現在は公正証書遺言だけではなく自筆証書遺言もおすすめしやすくなっています。
参考記事⇒【遺言書】自筆証書遺言とは?遺言書保管制度についても解説
②公正証書遺言
公正証書遺言は、 遺言者、公証人と証人2名の前で、遺言の内容を口頭で告げ、公証人が文章としてまとめます。そして、遺言者および証人2名に読み聞かせる等をして内容に間違いがないことが確認された後に、遺言公正証書として作成が行われます。
公正証書遺言は公証人が作成するため、遺言作成者が死亡した後に家庭裁判所の検認を受ける必要はありません。
なお、「口頭」で告げるのが原則とされていますが、病気等で口のきけない方であっても、公証人の前で自書をすること等によって、公正証書遺言を作成することができます。
◆遺言書を作成しておくべき理由
理由①
遺言をするにあたっては、遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければなりません。
例えば、病気などで判断能力が低下している場合、単独では遺言書作成ができないことになります。成年被後見人の場合、判断能力が一時回復した時において、医師2人以上の立会いがあれば遺言書を作成することができます。この場合、遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければなりません。
現実的には意思がはっきりしているうちに遺言書を作成しておくことを推奨します。40代、50代と若いうちでも決して早くはありません。現に私はこの記事直筆時点で34歳ですが、遺言書の基礎は作成しています。
認知症などの病気により判断能力が低下すると、遺言書を作成するのが難しくなります。将来の財産承継のためにも、若いうちに作成しておくのがおすすめです。
特に今は自筆証書遺言が利用しやすくなってきているため、ベースだけでも作っておくとよいと思います。
理由②
遺言書を作成していない場合、相続開始後、相続人となった方が民法という法律で決められた法定相続分で相続するか、遺産分割協議を行って取得する財産を決めることになります。
この場合に、多いのが法定相続分で相続した場合の相続人間でのトラブルです。この家は誰の物?、貯金は誰の物?といったようにもめることがあります。
場合によっては裁判手続きになるケースも見られます。
また、遺産分割協議を行うのも場合によっては大変です。
例えば3人子がいるときに、長男とは福岡で同居、長女は北海道にいて、次男は東京にいるといったケースの場合に、3人集まって協議を行うのは大変です。
現代は技術の向上によりZOOM等のオンラインにて協議を行うことも可能と解しますが、それでも上記の例の長女と次男は、どのような財産があるか分からない場合もあるでしょう。
このような場合に「長男に相続させる」といったような遺言書を作成しておくと、遺産分割協議を行わなくてもよくなります。
◆遺言書の作成にあたって
遺言書の作成にあたっては、専門家に相談することを強くお勧めします。仮に遺言書が無効となってしまうと取り返しがつきませんので、自身が行うのにはリスクがあります。さらには遺言執行者を指定すべきところ、いなかったということなどもあり得ます。
そして、財産に不動産がある場合、司法書士へ相談するとよいでしょう。
これは、登記をする際に、遺言書の文言で手続きが変わる場合があるためです。
登記の手続きにおいては、遺言書の文言が「遺贈する」か「相続させる」かで変わってきます。
「遺贈する」とした場合、原則として「遺贈」によって承継されることになります。遺贈の場合、相続登記の場合と異なり、相続人となった方全員がその不動産の登記申請に関与する必要が出てきます。
一方で「相続させる」とした場合、「相続」によって承継されることになり、取得した相続人が相続登記を申請することになります。
そのため、主な財産が不動産である場合などは「相続させる」とするのがよいでしょう。
ただし、相続人とはならない方に「相続させる」とした場合は遺贈として登記の申請を行いますので、この場合は「遺贈する」とするのが通常です。
このように、専門家に依頼したほうが、後からトラブルを防ぐことが可能です。
◆まとめ
病気等により意思能力が低下すると作成は困難
相続人間のトラブルを防止することができる
遺言書の作成は専門家へ依頼するとよい
今回は以上となります。
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