「保護犬を助けるために、自分で動物保護団体を作りたい」犬が好きな人にとって、一度は考えたことのある夢かもしれません。
飼い主を失った犬や、飼育放棄された犬など、保護された犬たちを救い、新しい家族につなげる活動は、とても意義のあるものです。しかし、実際に団体を立ち上げて活動するためには、犬を保護するだけではなく、資金や施設、行政手続きなどについても考えなければなりません。
今回は、保護犬のために動物保護団体を作る場合について知っておきたいポイントを解説します。
動物保護団体を作るには
個人で活動するのか、法人を設立するのかを決める
まず、動物保護活動を始めるからといって、必ず法人を設立しなければならないわけではありません。この「法人」とは法律によって定められた手続きによって成立するものです。
よって、最初は個人の集まりとして、任意団体としての活動を始めることもできます。少人数で活動するのであれば、まず任意団体としてスタートし、活動が軌道に乗ってから法人化するという方法も考えられます。
一方、継続的に寄付を集めたり、自治体や企業などと連携したり、スタッフを雇用したりするのであれば、法人化するメリットがあります。特に寄付活動を行うのであれば、法人化したほうが信頼を得やすいです。
法人化する場合
法人化する場合、代表的な選択肢の一つがNPO法人(特定非営利活動法人)です。NPO法人は、特定非営利活動を行う法人であり、動物愛護に関する活動も一定の要件を満たせば対象となり得ます。
また、一般社団法人として活動する方法もあります。一般社団法人はNPO法人よりも容易に設立でき、かつ比較的幅広い活動を行うことができます。団体として契約を締結したり、銀行口座を開設したりする場合にも便利です。
ただし、「法人にすれば安心」というわけではありません。法人化すると、設立手続きだけでなく、会計や税務、各種書類の作成など、継続的な事務負担も発生します。
そのため、活動規模や目的に合わせて法人化を検討することが大切です。
動物愛護法について
保護犬活動をするには、動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)も重要です。
動物愛護団体としては保護活動を行うことは、一般的に「動物取扱業者」にあたります。このうち、第一種動物取扱業者(保護犬の有償譲渡を行う等)にあたる場合は、都道府県知事または政令指定都市の市長の登録を受けなければなりません。
また、第一種動物取扱業者に当たらない場合であっても、第二種動物取扱業者(利益を目的としない単純な犬の保護)にあたる場合、氏名や動物の種類など、必要な事項を都道府県知事に届け出なければなりません。
なお、保護犬活動を行うからといって、必ずこれらに該当するとは限りません。例えば、「当面は保護した犬1頭だけ面倒を見る」というのであれば、一般家庭における犬の飼育とほとんど変わりませんから、登録や届出は求められないでしょう。
活動場所と犬の飼育環境を準備する
法律の話以外だと、大きな課題となるのが飼育環境です。
保護した犬を施設で飼育するのであれば、犬が安全に生活できるスペースを確保しなければなりません。犬同士の相性や感染症対策、騒音、臭い、近隣住民との関係なども考える必要があります。
また、すべての犬を団体の施設で飼育するのではなく、ボランティアの家庭で一時的に預かってもらう「預かりボランティア」という仕組みを活用する方法もあります。
保護犬の数を増やすことだけを目標にするのではなく、「最後まで責任を持って適切に飼育できる頭数」を考えることが重要です。
犬は生き物ですから、飼育崩壊ということがあってはなりません。
資金調達の仕組みを作る
保護犬活動を行うには、想像以上にお金がかかります。
ドッグフードやペットシーツなどの日常的な費用だけでなく、ワクチン、健康診断、不妊・去勢手術、病気やけがの治療費なども必要になります。
そのため、団体を継続するためには安定した資金源を確保しなければなりません。
会費、寄付金、クラウドファンディング、チャリティーイベントなど、複数の方法を組み合わせることが考えられます。
特に重要なのが、集めたお金をどのように使ったのかを明確にすることです。寄付を受ける団体であれば、収支や活動実績をできるだけ分かりやすく公開することで、支援者からの信頼につながります。
里親探しの仕組み
保護した犬を新しい家族につなげる場合、単に「犬を引き取ってくれる人」を探せばよいわけではありません。
犬の性格や健康状態、必要な飼育環境などを確認し、里親希望者が適切に飼育できるかを慎重に判断する必要があります。
また、譲渡後に問題が発生した場合の相談窓口を設けたり、一定期間後に犬の状況を確認したりするなど、譲渡後のフォローも重要です。犬の譲受者に対し、「月1回、犬の近況報告を義務付ける」というようにすることも考えられます。
保護犬を救う活動では、「単に保護すること」だけではなく、「二度と不幸な環境に戻さないこと」まで考える必要があります。
まとめ
保護犬のために動物保護団体を作ることは、決して簡単なことではありません。しかし、適切な環境を整え、仲間と協力しながら活動を続けることができれば、多くの犬の命を救い、新しい家族との出会いを作ることができます。
まずは「どのような活動をしたいのか」を明確にし、任意団体として始めるのか、NPO法人や一般社団法人などの法人を設立するのかを検討しましょう。
そして、活動内容によって必要となる動物取扱業の登録や届出、飼育環境、資金調達、里親への譲渡方法などを一つずつ整えていくことが重要です。
「犬を助けたい」という思いはすばらしいものです。その思いを一時的な活動で終わらせず、継続的に犬たちを救う仕組みにしていくためにも、法律や運営面についても十分に準備したうえで団体を立ち上げるとよいでしょう。
