株式会社を設立・運営するうえで、「会計監査人」という言葉を耳にすることがあります。あまり馴染みのない役職かもしれませんが、特に中規模以上の会社にとっては重要な存在です。
今回は、会計監査人の役割や設置義務についてわかりやすく解説します。
※この記事では、株式会社における会計監査人について解説しています。
会計監査人とは?
会計監査人とは、会社の財務諸表が適正に作成されているかどうかを第三者の立場で監査する人(または監査法人)のことです。公認会計士または監査法人がこの役職に就きます。
会計監査人は取締役などの役員とは異なり、外部の機関です。
株主などの利害関係者が安心して会社の経営状態を把握できるよう、会計の信頼性を担保するための役割を担っています。
会計監査人の設置が必要な会社
すべての株式会社に会計監査人が必要というわけではありません。以下のようなケースで会計監査人の設置が義務付けられています。
大会社
「大会社」とは最終事業年度に係る資本金が5億円以上または負債総額が200億円以上の会社を指します。
監査等委員会設置会社
監査等委員会を設置している株式会社は、会計監査人の設置が義務となります。
監査等委員会設置会社とは、監査等委員会である取締役と、それ以外の取締役が存在する株式会社です。
監査等委員会設置会社は、平成27年に新しくできた制度です。監査役会や指名委員会等設置会社の欠点をカバーしている点や、利益相反取引について監査等委員会の承認を得ることで任務懈怠責任の推定がされなくなるなどのメリットがあり、大企業を中心に爆発的に普及しました。
指名委員会等設置会社
指名委員会等設置会社とは、指名委員会、監査委員会及び報酬委員会(以下「指名委員会等」という。)を置く株式会社をいいます。
指名委員会等設置会社においても会計監査人の設置が求められます。
会計監査人の役割
会計監査人は、株式会社の計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類を監査します。この場合において、会計監査人は、会計監査報告を作成しなければなりません。
これにより、会社の財務が健全であるか、粉飾や誤りがないかを第三者の視点から確認します。
会計監査人の資格
取締役や監査役は、法律上は誰でもなることができます。そのため、会社と全く関係のない第三者を取締役として選任することもできます。もっとも、就任するためには選任された人の就任承諾が必要となります。
一方で会計監査人は、公認会計士又は監査法人でなければなることができません。会計監査人は会社外部の会計のプロを選任するためです。
なお、公認会計士法の規定により計算書類について監査をすることができない者など、欠格事由に該当する場合も会計監査人になることができません。
上記の資格がない者を会計監査人として選任した場合、その選任決議については無効となります。
会計監査人の任期について
会計監査人の任期は、会社法において明確に定められています。
■ 原則的な任期
- 会計監査人の任期は 「選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」 とされています。
- つまり、任期は1年です。
- ただし、定時株主総会において会計監査人について別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなされます。
■ 任期の伸長
任期の伸長はできません。
会計監査人の登記について
会計監査人を選任または再任した場合、2週間以内に法務局へ登記申請を行う必要があります。
これは任期更新だけであっても例外ではなく、「再任」の場合でも登記が必要になるため、注意が必要です。特に、会計監査人は自動再任されるため、登記の申請を忘れないよう注意が必要です。
会計監査人の登記
会計監査人を選任した場合、または任期満了・辞任・解任などによって変更があった場合は、法務局への登記が必要となります。
■ 登記事項
会計監査人に関する登記事項は以下のとおりです。
- 会計監査人の氏名または名称
- 就任・退任の年月日
定款を変更して会計監査人を設置した場合、併せて会計監査人設置会社である旨の登記も申請します。
■ 登記申請の期限
登記申請は、次のいずれかの事由が生じた日から2週間以内 に行う必要があります。
- 会計監査人が就任・重任した
- 会計監査人が辞任した
- 会計監査人を解任した
自動再任による重任でも登記義務がある点に注意が必要です。実務上は見落とされやすいポイントです。
■ 添付書類の例
会計監査人の就任登記の申請時に必要な主な添付書類は以下のとおりです。
【就任の登記】
- 登記申請書
- 就任承諾書
- 株主総会議事録
- 株主リスト(自動再任の場合は不要とされています)
- 会計監査人が個人のときは、公認会計士であることを証する書面(日本公認会計士協会事務総長名義の証明書)
- 会計監査人が監査法人のときは、監査法人の登記事項証明書
- 委任状(司法書士への委任状)
■ 司法書士のサポート範囲
司法書士は、これらの登記に関する申請書類の作成および法務局への提出を代理します。
- 書類の整備・案内
- 登記申請の手続き
- 不備時の対応(補正など)
といった実務面全般をサポートできるため、ミスや遅延を防ぐうえでも重要な役割を担います。
まとめ
会計監査人は「一定の会社」にとっては登記事項であり、選任・退任・再任などの都度、法務局への登記が必要です。期限を過ぎると過料の対象になる場合もあるため、専門家のサポートを受けながら確実に進めることをおすすめします。
また、会社が会計監査人を設置または変更した場合、法務局への登記が必要です。
自動再任の際にも必要となるため、忘れないように注意が必要です。
登記事項としては「会計監査人の氏名または名称」や会計監査人設置会社である旨も必要になる場合があります。就任・辞任・解任などの際には、適切な書類(就任承諾書・辞任届など)を添付して登記を行う必要があります。
会社の規模が拡大し、会計監査人の設置を検討する場合、専門家のサポートを受けながら行うとよいでしょう。


