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弁済供託の要件は?供託の効果とできるパターンについて解説

暮らしの法律

福岡の司法書士Tです。

家賃を払いに行ったけど大家さんがいない、家賃の値上げに納得いかない、などのケースでは、法律上供託が認められることがあります。この供託きょうたくとは、債務の弁済金などを相手方に渡すことができないときに、供託所といわれる国の機関にお金を預ける制度です。

今回は、供託の中でも弁済供託に絞って解説していきます。


弁済供託とは?

弁済供託べんさいきょうたくとは、債務者が、債権者に対して弁済をしようとしたにもかかわらず、それが受け取られない場合や、債権者が誰か分からない場合などに、供託所(法務局)に弁済金として預ける制度です。供託を行うことで、債務者は法律上の弁済義務を果たしたことになり、債務を免れることができます。

弁済供託の要件

供託をするためには、その法律上の根拠が必要です。弁済供託においても同様です。「あいつの顔も見たくないから供託する」というようなことは有効な供託としては認められません。

弁済供託をするための要件

弁済供託をするための要件は、債権者に対し弁済をすることができないことです。ここでいう弁済をすることができないとは、次のような状況があたります。

  1. 債権者が弁済を受け取らない場合(受領拒否)
    例えば、家賃を支払おうとしても、貸主(大家)が受け取りを拒否する場合。
  2. 債権者が弁済を受け取ることができない(受領不能)
    例えば、借金を返済しようとしても、債権者が行方不明な場合。
  3. 誰に支払えばよいか分からない場合(債権者不確知)
    例えば、相続が発生し相続人が複数いるが、誰が相続人か分からずに支払うべき相手か確定できない場合などがあたります。債権者不確知の場合、弁済者が過失なく相手方をしらないことが必要です。

賃料の弁済供託のハナシ

ここでは、弁済供託の中でも代表的なものである「賃料」に絞って解説していきます。

賃料の弁済供託について

賃料の弁済供託は、特に賃貸借契約において大家さんが家賃の受領を拒否する場合(受領拒否)や、貸主が不在・行方不明で支払いができない場合(受領不能)などに行われます。

賃料の供託をすることができるケース

  • 貸主が家賃の受け取りを拒否する場合
    例:賃貸借契約の更新トラブルで、貸主が家賃の支払いを受け付けない。
  • 貸主が行方不明・死亡した場合
    例:貸主が亡くなり、相続人が決まるまでの間、家賃の支払い先が不明。
  • 貸主が賃借人に対して嫌がらせを目的として受領を拒否する場合
    例:退去を迫る目的で家賃の支払いを受け付けない。

具体的なケース

  • 賃料の弁済期前
    例えば「翌月分を前月末日に支払う」という賃貸借契約である場合、前月末日前に供託することはできません。一方で「前月末日までに支払う」との契約であれば、供託することができます。これは、賃料債務が発生するタイミングがポイントで、「前月末日に支払う」との定めであれば末日に債務が発生します。一方「前月末日までに支払う」との契約であれば、前月に入ると債務が発生します。そのため供託できるという取扱です。
  • 必要費との相殺後の賃料
    借りている家を大家さんが修繕しない場合において、借主自らの支出により修繕した場合、その修繕についての費用請求権を自働債権、賃料債務を受働債権を相殺することができます。そしてこの相殺後の賃料を大家さんに提供したところ拒まれた場合、その賃料を供託することができます。
  • 賃料の値上げの場合
    賃料が値上げされた場合において、賃借人が従前の賃料の額を大家さんに提供したところ、受領を拒否された場合、その賃料を供託することができます。

弁済供託の手続き

弁済供託を行うには、以下の手続きが必要です。

  1. 供託書の作成
    法務局の供託所に提出する供託書を作成します。弁済供託において金銭を供託する場合、オンラインの方法による供託もできます。この場合、供託をするときは電子署名も電子証明書も送信は不要です。ただし錯誤などで弁済金を取戻す場合、その取戻請求において電子署名と電子証明書が求められます。
  2. 弁済金の供託
    供託所に弁済金を預けます。オンライン供託の場合、電子納付の方法によって行います。
  3. 供託通知の送付
    債権者に対し、弁済供託を行ったことを通知します。供託所の供託官に対し、通知を発してもらうこともできます。この場合、供託通知書を送るための封筒を提供します。供託通知書は普通郵便で送ってもらうこともできます。
  4. 供託金の払渡し請求
    債権者は供託所に対して請求手続きを行い、供託金を受け取ります。

弁済供託の効果

弁済供託が適法に行われると、供託した時点で債務者は弁済を完了したとみなされ、債務を免れることができます。つまり、債権者が受け取らなくても、有効な供託がされることで債務者は支払義務を果たしたことになります。

有効な供託がされた後に債権者が弁済を求めてきたとしても、それに応じる必要はないということになります。


まとめ

弁済供託は、債務者が正当な理由で弁済ができない場合に利用される制度です。あまりなじみのない制度ですが、特に、家賃の支払いトラブルや相続が絡むケースなどで有効です。もし弁済供託が必要な状況に直面した場合は、専門家である司法書士に相談することをおすすめします。

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