福岡の司法書士ライターTです。
先日、虚偽の所有権移転登記をおこない、強制執行を妨害したとして司法書士を含め数人が逮捕されたという報道がなされました。この時によく耳にする「容疑者」などの用語について、正しい意味は知らないという方も多いのではないでしょうか
そこで今回は、容疑者、逮捕や否認など、よく耳にする用語について解説していきます。
◆容疑者(被疑者)とは
容疑者(被疑者)とは、刑法などに規定されている犯罪について、その犯罪行為を行ったとの疑いを持たれている者をいいます。
法律上は被疑者といいますが、「ひぎしゃ」と発音すると「ひがいしゃ」(被害者)と聞こえてしまうことから、メディアを中心に容疑者と呼ぶようになったとされています。
あくまで犯罪行為を行ったとの疑いを持たれているだけであり、犯罪を行ったことが確定したわけではありません。そして有罪と宣言されるまでは無罪と推定されます。これを、推定無罪の原則といいます。
被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡をしなければならない(刑事訴訟法336条)といった規定もあります。
「疑わしきは被告人の利益に」または「疑わしきは罰せず」とする原則がありますが、刑事訴訟法336条は、この原則を規定したものだとされています。
上記のとおり、犯罪行為を行ったとの疑いを持たれているだけであり、この時点ではまだ何の罪も犯していないことになります。よって「容疑者」を犯罪者と確定して誹謗中傷をすることはやめましょう。
◆逮捕とは
ここでいう逮捕とは、容疑者が逃亡するのを防ぐために行われる身体的拘束をいいます。
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、被疑者を逮捕することができます(刑事訴訟法199条1項)。
この逮捕状をもって逮捕を行うのが原則です。
逮捕された時点ではまだ「容疑者」に過ぎないため、ここでもまだ犯罪を行ったことが確定したわけではありません。
◆否認・認めるとは
被疑者が疑いを持たれている犯罪行為をおこなったということを認めないことを否認といいます。つまり、被疑者自身がその犯罪を行った事実について争っていることになります。
一方、被疑者が疑いを持たれている犯罪行為をおこなったということを認めている場合は「容疑を認めている」という報道がされます。しかし、容疑を認めたからすぐに犯人になるかというと、そうではありません。
◆起訴とは
起訴とは、公訴を提起することをいいます。公訴とは、検察官が裁判所に対して、ある刑事事件について審判を求める訴訟行為をいいます。
そして、起訴されることにより、刑事事件の手続きが開始します。
起訴されたといっても、まだ犯罪を行ったことが確定したわけではありません。
なお、公訴に似た用語として、控訴という用語があります。控訴とは、第1審の判決に対して不服がある場合に、上級の裁判所へ再審理を求める手続きをいいます。
◆被告とは
被告人とは、公訴を提起された被疑者のことをいいます。法律上では被告人といいますが、メディアでは「被告」と呼ぶことが多いです。
◆いつ犯罪を行ったことが確定するのか
裁判官が判決を言い渡し、刑が確定した時に犯罪を行ったことが確定します。
例えば、「被告人を懲役〇年に処する」という言い渡しがされ、それが確定してからということになります。
実際に犯罪を行ったことが確定するのは、逮捕されてから先の話ということです。
◆民事訴訟とは違うの?
民事訴訟とは、個人間の紛争について、裁判所にその解決を求める手続きです。
例えば、金銭100万円を貸しつけたところ、返済期日になっても返済されなかったというケースにおいて、この100万円の支払いを求める訴えを提起することができます。
個人間の紛争の解決が目的ですから、この時仮に「被告は原告に対し、金100万円を支払え」といった判決がされたとしても、被告は犯罪を犯したことにはなりません。
◆まとめ
容疑者=犯罪者ではない
判決が確定したときに犯人になる
今回は以上となります。なお、刑事事件に関しては、弁護士へご相談ください。
このようなご相談に対応しております。
・相続に関する専門的な記事を作成してほしい
・ブログに記事を提供してほしい
・インターネット広告用バナーを作成してほしい
・相続や会社法人のことについて司法書士に相談したい


