司法書士ライターのTです。
今回は、司法書士が行う本人確認について、なぜ厳格に行われるのか、その理由について解説していきます。
本人確認にあたっては個人情報を提供することになるため、抵抗を示す依頼者の方も多いですし、司法書士側もそれは理解しております。しかし、本人確認に協力いただけないと司法書士側としては依頼をお断りすることになる場合もあります。
なぜそこまでして本人確認を行うのかについて、解説します。
◆法律で義務付けられている
まず、法律で義務付けられているためです。
代表的なものでは、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)により、特定事業者は顧客等について、本人特定事項や取引を行う目的などの確認を行わなければならないとされています。そしてこの「特定事業者」には司法書士も含まれています。
よって、法律上、司法書士は依頼者等の本人確認を行わなければならないと定められているわけです。
これらの事項確認を行うのは、犯罪による収益の移転防止を図り、併せてテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等の的確な実施を確保し、もって国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することが目的です。
また、本人確認として、本人が暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団対策法)における暴力団員等に該当しないかどうかなどの確認も行います。
ですから、本人確認にご協力いただけない場合はご依頼をお断りする場合があります。
◆依頼者の権利を守るため
次に依頼者の権利を守るためです。
例えば、あなたがお持ちの不動産が、知らないうちに売られて所有権移転の登記されているとなったとします。
この時、第三者があなたに成りすまして不動産を売ったかもしれません。土地の所有者になりすまして売買契約が行われた事件は実際に発生しています。この成りすましを防ぐために本人確認を行います。
◆ご本人の意思を確認するため
例えば高齢者で判断能力が低下している方が、自身の所有する不動産を売ることにつき、自身の意思で行ったかどうか見極めるのは困難です。
その高齢者の親族や第三者が代わりに売却するにしても、所有者自身の意思かどうかはわかりません。
そこで、司法書士が当事者を確認し、所有者が自らの意思で売ろうとしているかの確認をします。
例えば、所有者の親族が、自身の借金を返済するために不動産を半ば贈与に近い形で取得し、第三者に売却したというケースの場合、所有者が自らの意思で売却したとはいえません。所有者の親族の利益のために売却されてしまっています。
このようなことを防ぐためにも、司法書士が当事者の確認を行う必要があります。
◆ウソの会社・法人設立を防ぐため
例えば、実在しない人物が会社を設立しようとしている場合、誰も本人確認をしなければ設立できてしまう可能性があります。第三者になりすまして会社設立しようとしている場合も同様です。
これらの会社・法人は犯罪に使われる可能性が高いですから、その犯罪を防ぐ必要があります。
そのため、司法書士が本人確認を行うことになります。
特に、会社・法人設立の際も本人確認が行われることに抵抗のある起業者は多いですから、実際に抵抗のある方も特段不思議なことではありません。
しかし、このような理由から、必ず本人確認を行います。
◆個人情報を司法書士に提供して大丈夫なの?
結論から言うと大丈夫です。
なぜなら、司法書士には守秘義務があり、勝手に第三者に漏らすことが禁止されています。どの司法書士も個人情報の取り扱いには慎重になっています。
さらに、守秘義務に違反した司法書士は6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる場合がありますし、懲戒の対象にもなります。
このようなことから、司法書士が個人情報を勝手に漏らすことはありませんのでご安心ください。
◆まとめ
法律で義務付けられている
依頼者の権利を守ることや犯罪防止のため
司法書士には守秘義務があり、個人情報を勝手に漏らすことはない
今回は以上となります。
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