司法書士ライターのTです。
医療法人において組織再編は、合併と分割ができます。今回はそのうち、医療法人の合併について解説していきたいと思います。
医療法人は医療法人としか合併できません。
・医療法人+一般社団法人
・医療法人+特定非営利活動法人
といったような合併はできません。
一方で医療法人社団と医療法人財団の合併は可能です。この場合、医療法人財団においては寄附行為にて合併をすることができる旨を定めておく必要があります。
◆まずは合併の種類を解説します。
医療法人の合併には吸収合併と新設合併というものがあります。
吸収合併とは、下図のように、一方の法人がもう一方の法人に吸収されて、片方が消滅する合併方法です。

A法人がB法人を取り込み、B法人がA法人の権利や債務をすべて引き継ぎます。人で例えるなら「相続」に近いといえるでしょう。一般的な合併といえばこちらの吸収合併があたるでしょう。
新設合併とは下図のように合併する法人が新たな法人を設立し、合併した法人は消滅するパターンです。

A法人とB法人が共同してC法人を設立し、C法人がA法人とB法人を取り込み、権利や債務をすべて引き継ぎます。
◆次に合併の手続きの流れを解説します。
医療法人が合併をするには、
①合併契約の締結
②総社員の同意(医療法人財団においては理事の3分の2以上の同意)
③所轄庁(都道府県知事)の認証
④貸借対照表および財産目録の備え置き
⑤債権者保護手続
⑥合併の登記
⑦合併登記完了の届け出
が必要です。
①合併契約の締結
合併は当事者となる医療法人同士の契約ですから、まずは合併契約を締結しなければなりません。
②総社員の同意(医療法人財団においては理事の3分の2以上の同意)
「社員」とは株式会社でいう「株主」にあたります。医療法人社団においては、社員全員が同意する必要があるとされています。
医療法人財団においては寄附行為にて合併をすることができる旨を定めてある必要があるため、理事の3分の2以上の同意とされています。
④貸借対照表および財産目録の備え置き
所轄庁から認証の通知があった時から2週間以内に貸借対照表および財産目録を作成し、合併の登記がされるまで事務所に備え置かなければなりません。債権者(取引先)からこれらの閲覧請求があった場合、これらを閲覧に供しなければなりません。
⑤債権者保護手続
所轄庁から認証の通知があった時から2週間以内に、債権者に対し、合併に異議を述べることができる旨を公告しなければなりません。また、医療法人において知れている債権者に対しては各別に催告が必要です。この異議を述べる期間は最短でも2か月は必要となります。
なお、債権者がこのとき異議を述べた場合、医療法人はその債権者に対し債務の弁済などをしなければなりません。
合併は医療法人にとって大きな変化となりますから、債権者に異議を述べる機会を与えて保護しなければならないとされているわけです。
◆合併にあたって
合併する場合は許認可や債権者異議手続きなど、各種手続きが必要なため、長い期間がかかる場合があります。
また、手続きの費用や債権者への弁済など多額の費用が発生する場合もあります。医療法人の合併を検討される際は、期間や資金にも計画をもって行う必要があるでしょう。
今回は以上となります。
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