近年、友人同士で起業するケースは珍しくないです。特に「気心の知れた友人と2人で会社を設立したい」と考える人は多いでしょう。しかし、信頼関係があるからこそ上手くいく面もあれば、逆にその関係がリスクとなることもあります。
今回は、友人2人で株式会社を設立する場合のメリットとデメリットを多角的に解説します。
友人や親友と2人で株式会社を設立するメリット
精神的な安心感と信頼関係
友人や親友同士であれば、価値観や性格、仕事への姿勢をある程度理解しています。創業期は売上が安定せず、資金や将来への不安も大きくなりがちですが、信頼できる相手と支え合えることは大きな心の支えになります。孤独になりやすい起業初期において、相談相手が常にいることは大きな強みです。
役割分担による業務効率の向上
2人で起業することで、営業・経理・企画・実務などの業務を分担できます。例えば、一人が営業と対外折衝を担当し、もう一人がバックオフィス業務を担うことで、それぞれの得意分野を活かした経営が可能になります。これは1人起業にはない大きな利点です。
資金面の負担軽減
株式会社を設立するには、設立費用や経費などそれなりの初期費用がかかります。2人で資金を出し合うことで、個人あたりの負担を抑えることができ、設備投資や広告費などにも余裕を持たせやすくなります。
意思決定のスピードと柔軟性
大企業と異なり、創業メンバー2人であれば意思決定が非常に迅速です。意見交換をすぐに行い、柔軟な経営判断が可能になります。互いの考えを尊重しつつ、スピーディに方向性を決められる点はスタートアップにとって重要です。
対外的な信用力の向上
個人事業ではなく法人である株式会社を設立することで、金融機関や取引先からの信用を得やすくなります。個人事業主よりも法人の方が融資も通りやすいですし、取引先からの信頼も得やすいです。
友人と2人で株式会社を設立するデメリット
2人の関係が悪化すると、会社自体が崩壊するリスクがあります。
人間関係の悪化リスク
最大のデメリットは、友人関係の悪化がそのまま経営リスクになる点です。意見の対立や価値観の違いが表面化した場合、ビジネスだけでなく私生活の関係も崩れてしまう可能性があります。金銭や責任問題が絡むと感情的な衝突に発展しやすくなります。
意思決定の対立
2人経営では、どちらかが反対すると物事が進まないケースもあります。特に株式を50%ずつ保有している場合、意見が真っ二つに分かれると会社運営が停滞する危険があります。
また、出資比率をどうするかの問題もあります。株式会社においては、議決権数=株式数というのがオーソドックスなかたちです。そして、株主総会の決議において議決権の過半数(普通決議)をもって決定する事項は多いです。
たとえば、55%と45%という比率であった場合、55%を持っている人は一人で決定できてしまう事項が多いことになります。具体例を挙げると、2人とも取締役として役員となっている場合における役員報酬は株主総会の普通決議によって定めることができ、55%を持っている人が一人で定めることができてしまいます(会社法361条)。
上記の役員報酬の対策としては、あらかじめ定款に定めておくことで、トラブルを防ぐことができます。定款で定めがない場合は上記の株主総会の普通決議によることになります。
役割不明確による混乱
起業直後は「何でも一緒にやる」状態になりがちですが、これが長期化すると責任の所在が曖昧になります。「どちらが最終責任を持つのか」が不明確だと、トラブル時に責任の押し付け合いになる可能性があります。
金銭に関するトラブルの発生
出資比率や役員報酬、利益配分を曖昧にしたままスタートすると、自分の方が働いているのに報酬が同じということや、借金の保証は誰が負うのかといったような不満が生まれます。
「俺の方が多く出資しているじゃん」「私の方が利益出してますけど」というような感情論から、人間関係悪化の引き金になるケースは非常に多いです。
上項の役員報酬の話もそうですが、お金に関するトラブルは最も多いといえるでしょう。いくら親友とはいえど、お金のせいで関係が壊れたという話は珍しくありません。
退任・解散時の問題
将来的にどちらかが退職したい、株式を手放したいと考えた場合、話し合いがスムーズに進まないことがあります。感情とビジネスが絡むため、第三者的な判断が難しくなり、最悪の場合は訴訟に発展することもあります。
トラブルを防ぐためのポイント
友人との起業を成功させるためには、感情とビジネスを明確に分ける意識が重要です。
- 出資比率を明確にする
- 役割と権限を文書化する
- 株主間契約を締結する
- 利益配分・報酬体系を事前に決める
- 退職・解散時のルールを定める
- あらかじめ相談できる外部専門家と連携しておく
これらを口約束ではなく、きちんと書面で残すことが重要です。友人としての信頼関係があるからこそ契約で守るという姿勢が結果的に友情を守ります。
まとめ
友人や親友と2人で株式会社を設立することは、精神的な安心感や業務効率の向上など多くのメリットがある一方で、人間関係の悪化や意思決定の停滞など重大なリスクも抱えています。成功の鍵は仲が良いから大丈夫ではなく、仲が良いからこそルールを明確にするという姿勢にあります。
事業は友情の延長ではなく、独立した経済活動です。冷静な視点で役割と責任を整理し、信頼関係とビジネスの両立を図ることが、長く続く会社を作る第一歩となるでしょう。
