あなたの会社は決算公告をしていますか?
実際、決算公告は会社法に定められた義務であるにもかかわらず、実務では見過ごされがちな項目でもあります。
今回は、決算公告をしていない場合に違法となるのか、どのようなリスクがあるのか、そして今からでも対応すべきかどうかについて解説します。
決算公告とは
決算公告とは、株式会社が毎事業年度終了後に作成する貸借対照表(大会社では貸借対照表と損益計算書)などを一般に公開することをいいます。
株式会社は定時株主総会の終結後、遅滞なく貸借対照表等を公告しなければならないとされています。
公告方法には以下の3種類があります。
・官報への掲載
・日刊新聞紙への掲載
・電子公告(自社ホームページなど)
多くの中小企業は、官報公告を選択しているのが実情です。近年では自社ホームページで公告しているケースもみられます。
なお、有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない株式会社(上場企業など)は、決算公告の義務はありません。有価証券報告書を提出することで、決算公告をしたのと同じことになるからです。
また、合同会社にも決算公告の義務はありません(ただし貸借対照表の作成義務はあります)。
なぜ決算公告が必要なのか
決算公告の目的は、会社の財務状況を対外的に明らかにし、利害関係者を保護することにあります。債権者(取引先など)が会社の健全性を判断する材料として機能させるためです。
つまり、決算公告は単なる形式的義務ではなく、会社の透明性を確保するための制度であり、企業の社会的信用を支える重要な制度です。
【参考】公告と広告の違いは?
公告とは
公告とは、法律により定められた事項を、広く一般に知らせるために公表する行為を指します。主に会社法などに基づいて行われ、義務として実施されます。
代表的な公告の例は次のとおりです。
・決算公告
・合併公告
・解散公告
公告は原則としてしなければならないものであり、怠れば会社法違反になる可能性があります。
広告とは
広告は、企業が自社の商品やサービス、ブランドイメージを広め、販売促進や認知向上を目的として行うものです。経営戦略の一環とされるものです。
代表的な広告の例です。
・テレビCM
・インターネット広告
・チラシ
・看板
・SNSプロモーション
例えばWEBサイトで自社の商品をアピールするのは「広告」です。
目的の違いを比較
| 項目 | 公告 | 広告 |
|---|---|---|
| 目的 | 法的義務の履行 | 営業・宣伝 |
| 必要性 | 原則として必須 | 任意 |
| 根拠 | 法律 | 経営判断 |
| 主な内容 | 会社の重要事項 | 商品・サービス情報 |
| 実施しない場合 | 違法の可能性 | 問題なし |
「公告」と「広告」はまったく別のものです。仮にテレビで自社の貸借対照表を開示したとしても、それは「公告」にはなりません。
決算公告をしないのは違法?
結論から言えば、決算公告をしないことは会社法違反に該当します。
決算公告を怠った場合、100万円以下の過料に処せられる可能性があります。刑事罰ではないため前科が付くものではありませんが、法律上の制裁対象であることに違いはありません。
ただし、実務上は過料に処せられるケースはほとんど聞きません。そのため「やっていなくても問題ない」と誤解されがちで、実際に決算公告をしていない中小企業はかなり多いです。しかし、これはあくまで行政の運用上の問題であり、義務が免除されているわけではありません。
実務上のリスク
決算公告をしていないことによるリスクは、過料だけではありません。むしろ実務面での影響の方が大きくなるケースもあります。
例えば次のような場面です。
・金融機関との融資交渉
・M&Aや事業承継
・企業信用調査
・上場準備
・取引先との契約審査
これらの場面で「決算公告未実施」が判明すると、ガバナンス意識の低さを指摘され、信用低下につながる恐れがあります。特に近年はコンプライアンス意識が高まっており、小さな違反でも評価に影響する時代です。
…とはいえ、決算公告をしている株式会社の方が少数であるため、きちんと決算公告をしているのであれば上記の場面において有利になりうると言った方が正確なのかもしれません。
今からでも対応すべきか
結論としては、未実施であっても可能な限り早めに対応することをおすすめします。
現時点で指摘を受けていなくても、是正する意思を示し、適正な会社運営を行う姿勢を整えることが重要です。
まとめ
決算公告をしていないことは、法律上は明確な会社法違反であり、過料の対象となる可能性があります。しかし、現実には決算公告をしていない株式会社の方が大多数という状況です。
「今までしていなかったから今さらやっても意味がない」ということはありません。むしろ、気づいた時点から是正する姿勢こそが、健全な企業経営への第一歩となります。
もし不安がある場合は、専門家に相談しながら、自社に合った形で決算公告体制を整えることを強くおすすめします。決算公告は単なる義務ではなく、会社の信用を守るための重要な手続きであることを、ぜひこの機会に再認識していただければと思います。
