歯科医院を経営していて、ある程度の規模や収益が安定してくると、「そろそろ法人化したほうがいいのでは?」と考えることも多いでしょう。
実際に、法人化している歯科医院も多いです。
今回は、主に歯科医院が法人化する主なメリットについて解説します。
そもそも歯科医院は法人化できる?
歯科医院は、医療法人として法人化することができます。
医療法人を設立できるのは医師だけと思われがちですが、歯科医師も医療法人を設立することができます。
歯科医院が法人化するメリット
所得税より法人税の方が低い
個人の歯科医院では、所得が増えるほど累進課税により最大45%の所得税率が課されます。たとえば所得が1,800万円以上では所得税の税率は40%となります。
一方、医療法人となった歯科医院では、法人税の比例税率となっており、約23%程度(中小法人であって所得が年800万円以下の場合は軽減あり)と、一定水準で抑えられるため、利益が大きい歯科医院ほど税負担を軽減できます。
経費として認められる範囲が広がる
法人化すると、経営者(理事長)への役員報酬を経費として計上できたり、退職金や福利厚生費など、個人事業では認められにくい支出も経費算入が可能になります。
これにより、実質的な節税効果が期待できます。
経営と個人の資産を分けられる
個人の歯科医院の場合、医院の借入や契約はすべて個人の責任になります。一方で法人化すれば、法人が独立した「会社」として契約主体になるため、万一のトラブル時にも経営者個人のリスクを軽減できます。
特に、スタッフを多く雇う場合や、設備投資が大きい医院では、法人化によるリスク分散効果が大きな安心材料となります。
家族への給与支払いが明確化
個人事業では家族への給与を「専従者給与」として扱うため、基本的に経費にはできません。
法人化すれば、家族を正式な従業員や役員として雇用できるため、給与の支払いも可能で、経費とすることが可能です。
資金調達力が高まる
個人の歯科医院はあくまで個人事業主と同じであるため、法人と比べ融資を受けにくくなります。
一方で医療法人となった歯科医院は法人格を持つため、銀行や金融機関からの融資審査における信用力が向上します。
医院の引き継ぎがスムーズに
個人の歯科医院では、万一院長が亡くなると事業自体が消滅してしまうのが原則です。
一方で医療法人であれば、院長が亡くなったとしても交代により法人を存続させることができ、事業の継続性・患者の信頼関係を維持できます。
M&Aによる事業承継を検討する際も、医療法人として法人化している方が信用が増し、引継がれる方にもメリットが多くなります。
社会的信用とブランディングの向上
医療法人という形態は、患者や地域社会、取引先に対して「組織としての安定性・継続性」を示します。
また、法人名義での契約・提携も可能になり、法人名義で不動産や財産を所有でき、また地域医療ネットワークや医療連携の中でも信頼性が高まります。
このように、個人の歯科医院に比べ、法人化した歯科医院では社会的信用性が大きく上昇します。
福利厚生制度を整えやすい
法人になると、社会保険の適用や福利厚生の充実が図りやすくなります。
歯科衛生士や職員の定着率向上や、優秀な人材確保にもつながるでしょう。
例えば以下のような制度を導入しやすくなります。
- 社会保険・厚生年金の加入
- 退職金制度
- 福利厚生費の計上
スタッフの働きやすい環境を整えることで、歯科医院全体の雰囲気や、ひいては受診者の満足度向上にもつながります。
まとめ
歯科医院の法人化は、
- 節税
- 信用力の向上
- リスク分散
- 事業承継の容易化
といった複数のメリットがあります。
歯科医院の法人化は、単なる「節税目的」ではなく、将来における安定経営・人材確保・承継を見据えた戦略的な判断として考えることが重要です。
