子どもの認知に関する問題は、家庭内の事情や相続の場面でしばしば重要な意味を持ちます。今回は「認知された子は法定相続人になれるのか?」という点について、民法の規定をもとに詳しく解説します。
認知とは?
「認知」とは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子について、父がその子を自分の子どもであると法的に認める行為です。通常は父が認知を行うことが多く、認知によって法律上の親子関係が成立します。
法律上は母も認知をすることができますが、子を出生するのは母であるため、母と子は認知がなくても親子関係が生じます。そのため通常は父が認知します。
認知の方法には次の2つがあります。
- 任意認知:父が認知届を出し、自発的に認知する。
- 強制認知:任意認知がない場合において子が父に対して認知を求める。
認知をすると父と子との間に親子関係が生じますが、認知によって直ちに父の嫡出子となるわけではありません。認知された子が嫡出子の身分を取得するためには、父と母の婚姻が必要です(これを準正といいます)。
嫡出子とは、婚姻中に懐胎または出生した子のことをいいます。
認知と相続
認知された子は相続人になれる?
結論から言うと、認知された子は相続人になります。
子は配偶者とともに第一順位の法定相続人とされていますが、この「子」には、認知された子も含まれます。父に認知された子は、父との間に親子関係が生ずるためです。
そして、民法887条において
被相続人の子は、相続人となる。
とされているため、認知された子も相続人となります。
認知と相続権
認知の時期によって相続権が制限されることはありません。例えば、子の出生から数十年経ってから認知された場合でも、親の死亡時に認知されていれば相続権は認められます。
被相続人の死亡後に認知がされた場合は、その認知された子も相続人であるという点に注意が必要です。例えば認知された子を参加させないでした遺産分割協議は、無効となります。
また、すでに死亡した子も認知することが可能です。この場合において、その認知された子にも子(認知者にとっての孫)がいる場合は、その孫が相続人になることが可能です。
相続分の割合
かつては非嫡出子の相続分は嫡出子の半分との取り扱いでした。しかしこの民法の規定が憲法に違反するとの判決が下されてから民法が改正され、嫡出子と非嫡出子の相続分の差はないことになりました。
したがって、現在は認知後に父母が婚姻をしたかどうかにかかわらず、認知された子も嫡出子と同じ相続分の割合で相続することになります。
たとえば、配偶者と子2人(うち1人は認知された)の場合、法定相続分は次のとおりです。
- 配偶者:1/2
- 嫡出子である子:1/4
- 認知された子(準正の有無問わず):1/4
認知に関する注意点
- 認知してもそれだけで嫡出子の身分を取得するわけではない
- 遺産分割の場面では争いになることも
他の相続人が認知の有効性に異議を唱える場合、相続開始後にトラブルとなることがあります。 - 戸籍に記載されることで明確に
認知された子は、父または母の戸籍に記載されることで法的地位が明確になります。 - 認知の事実は周囲に知られやすくなる
戸籍や相続手続きの中で、認知の事実が明らかになることに抵抗を感じる関係者がいる場合もあります。
まとめ
- 認知された子は、法定相続人としての地位を有します。
- 準正がされない場合も相続分は嫡出子と同等です。
- 認知のタイミングや方法によっては手続きが複雑になる場合もあるため、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
相続に関する悩みやご相談がある場合は、法律専門家にご相談ください。相続関係を円滑に進めるためには、正しい知識と適切な手続きが不可欠です。


