会社員の方には「いつか自分の事業を始めたい」「起業したいけれど、何をすればいいのか分からない」そんな悩みを持つ方は少なくありません。
起業するためには、いくつかのステップがあります。
そこで今回は、まったくの初心者でも分かるように、事業を始めるためのステップをひとつずつ丁寧に解説します。
開業準備マニュアル
ステップ①:まずは何をするかを決める
事業を始めたいと思った時、どんな仕事をしたいかは重要です。
飲食店、美容師、WEBデザイナー、士業、YouTuber、TikToker、役者、モデルなど、職業はたくさんあります。そして、どんな職業に就くかは個人の自由です。日本国憲法においても、職業選択の自由が保障されています。
憲法第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、~職業選択の自由を有する。
何をしたいかを決めずに事業を始めてもうまくいきませんので、まずはどんな職業に就くかを決めましょう。
ステップ②:目的とアイデアを明確にする
次に、「なぜ自分はこれをやりたいのか」「何を提供したいのか」という根本的な目的を明確にすることです。
たとえば
- 「子育て経験を活かして、主婦(夫)向けのオンライン講座をやりたい」
- 「地域の空き家を活用して、ゲストハウスを運営したい」
- 「役者としての経験を活かし、YouTubeでショートドラマを制作したい」
このように、自分の経験・関心・強みと結びつけてアイデアを膨らませていきましょう。
ポイント
- ノートなどに書き出して、見える化する
- 自分の価値観や将来像も合わせて整理する
ステップ③:市場調査をしてニーズを把握する
次に、アイデアが実際の社会で受け入れられるかを確認する「市場調査」が必要です。これを怠ると、せっかく始めても「思ったより売れない…」という事態になりかねません。
やるべきこと:
- 同じようなサービス・商品がどれくらいあるかを調べる(Google検索・SNS・口コミサイトなど)
- ライバルの価格帯、強み、弱みを分析する
- ターゲット層(誰に向けた商品・サービスか)を具体化する
- 実際の声を集める(アンケート・ヒアリングなど)
例:
ハンドメイド雑貨を販売したい → 似た商品を探し、レビューや価格帯を見る。
なぜ市場調査が必要かというと、どの職業においても「競合」がいるためです。たとえば司法書士においても、他の司法書士と仕事の取り合いになります。そのため、自分の強みを何か見つけておくとよいでしょう。
ステップ④:事業計画を立てる
事業は「思いつき」や「勢い」だけでは続きません。
資金繰り、集客、売上目標などを事前にシミュレーションすることで、リスクを減らし、安心してスタートできます。
最低限作っておきたい内容:
- どんなサービス・商品を、誰に、どうやって売るのか(ビジネスモデル)
- 初期費用(開業資金、設備費、広告費など)
- 月々の収支見込み(売上、経費、利益)
- 集客の方法(SNS、広告、知人紹介など)
- 事業の強みとリスク(SWOT分析)
事業を始めても初期はうまくいかないケースも多いです。特に資金についてはしっかり計画を立てましょう。無借金経営で始める場合、おおむね半年分の固定費+生活費を用意すると安心です。資金がない場合は事業計画をしっかり立てたうえで融資を受けましょう。
無借金経営のメリット・デメリットについて
無借金経営とは、銀行などからの借入をせず、自社の資金だけで運営する経営スタイルです。健全な財務体質の象徴として評価されることもありますが、一方で注意すべき点もあります。
【メリット】
まず最大のメリットは財務の安定性です。借入がないため、返済義務や利息負担がなく、資金繰りに追われるリスクが減ります。景気の悪化や売上減少時でも、返済に困る心配が少ないのは大きな安心材料です。
また、借入をしていない分、銀行や外部への信用リスクが低く、経営の自由度が高まります。意思決定もスピーディーに行えるでしょう。利息がかからないことから、コスト面でも有利です。
【デメリット】
一方で、無借金経営には成長のチャンスを逃しやすいというデメリットがあります。たとえば、新たな設備投資や事業拡大のタイミングで自己資金だけでは足りない場合、資金不足で機会を失う可能性があります。
また、金融機関との取引実績がないことが、いざというときに融資を受けにくくなる場合もあります。金融機関との取引実績は重要で、あえて借入をして、信頼関係を築いておくという戦略をとることもあるくらいです。
ステップ⑤:必要な手続きを行う
事業を始めるには、法的な手続きが必要になります。どの形態を選ぶかによって、必要な書類や手続きが異なります。
個人事業主として始める場合
個人事業主から始める場合、以下の手続きが必要です。
- 税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出
- 青色申告を希望する場合は「青色申告承認申請書」も提出
- 事業用の銀行口座を作ると管理が楽に
不明な点がある場合、税理士に相談してみましょう。
法人を設立する場合(株式会社や合同会社など)
会社や法人を設立する場合、個人事業主よりも細かい手続きを求められます。
- 定款の作成(株式会社や一般社団法人などは公証人の認証が必要)
- 資本金や出資金の払い込み
- 役員(株式会社における取締役、一般社団法人における理事など)の決定
- 設立登記の申請
- 銀行口座開設、税務署や都道府県への届出
NPO法人や医療法人などの一部の法人は、設立にあたって許認可申請が必要になります。
飲食業など一部では、その業種を行うために許認可申請が必要になります。
法人設立には司法書士や行政書士などのサポートを活用することで、安心して手続きができます。
ステップ⑥:SNSやホームページで情報発信
どんなに良いサービスでも、「知られていない=存在しない」のと同じです。
開業後は営業活動や情報発信が極めて重要です。
効果的な情報発信の手段:
- ホームページ
- ブログ(事例紹介・専門知識の発信に最適)
- InstagramやX(旧Twitter)、TikTokなどのSNS
- LINE公式アカウント(既存顧客との関係強化に有効)
- 名刺やチラシも地元では効果的
発信のコツ:
- ターゲット目線で、わかりやすく
- 自分の想いや専門性を見せる
- 投稿頻度は「質より継続」を意識
開業をしたとしても、待っているだけでは仕事が来ません。何らかの営業活動が必須です。近年はインターネットが発展しているため、以前のように必ずしも訪問営業をする必要はありません。
訪問営業やチラシのポスティングは、禁止しているマンションや住宅なども多いです。「営業お断り」「チラシお断り」といった標識が掲げてある場合は、トラブルの原因や会社の信用低下の原因となることもあるため避けましょう。悪質と判断されると住居侵入罪に問われるリスクもあります。
住居侵入罪とは刑法130条に規定されている罪で、正当な理由がないのに、人の住居等に侵入した者に対して成立し、最大で3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処せられます。
また、住人から退去を求められたにも関わらずしつこく営業を行うと、不退去罪に問われるリスクもあります。
不退去罪とは、住居侵入罪と同様、刑法130条に規定があり、正当な理由がないのに、要求を受けたにもかかわらず人の住居等からから退去しなかった者に対して成立し、最大で3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処せられます。
わたくし個人としては、起業される方に対し、訪問営業やご自身でのポスティングは避けるようアドバイスしています。理由としては、上記のとおりリスクがあるためです。
また、チラシを配布する場合は、専門の業者に依頼する、新聞の折込チラシにする等、ご自身で行わないようにアドバイスしています。
まとめ
事業を始めることは、大きなチャレンジです。
でも「何をすればいいか」が分かれば、不安は確実に減っていきます。そんな時は、上記のステップ①~⑥の項目を一つずつ確認してみましょう。
そして、まずは一歩踏み出してみましょう。
不明な点、不安な点があれば、司法書士などの専門家に相談するのもひとつの手です。
あなたの事業のスタートが、希望に満ちたものになりますように願っております。


