※2025/8/27追記:この記事は、2025年4月18日時点のものです。2025年10月より経営管理ビザの要件が厳格化される見込みとなりましたので、本記事の内容から変更が生じる可能性があります。
日本でビジネスを始めたいと考える外国人の方は少なくありません。ですが、「外国人でも会社を設立できるのか?」「経営にはどんなビザが必要なのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。このときに登場するのが経営管理ビザと呼ばれるものです。
この記事では、外国人が日本で会社を設立し、実際に経営を行うための手順や必要な在留資格の条件について、わかりやすく解説します。
外国人でも日本で会社設立は可能?
日本国内に住所がない外国人でも、一定の手続を踏めば日本で会社(株式会社や合同会社など)を設立することが可能です。日本国内に居住していない外国人でも発起人や取締役になれるようになり、以前より設立しやすくなりました。
ただし、会社設立そのものと、「日本に滞在して実際に経営を行うこと」は別問題です。日本に滞在して実際に経営を行うには、適切な在留資格(ビザ)が必要になります。
※本来「ビザ」とは査証のことであり、本記事のテーマとなる在留資格とは異なるものですが、分かりやすくするため本記事では在留資格を「ビザ」と記載しています。
会社設立の基本的な流れ
外国人が日本で会社を設立する場合のおおまかな流れは、以下の通りです。
- 事業内容・会社形態の決定(株式会社、合同会社など)
- 定款の作成・公証人の認証:合同会社などを設立する場合、「公証人の認証」は不要です。
- 資本金の払込
- 設立登記申請
- 税務署・都道府県などへの各種届出
外国籍の方が発起人や取締役になる場合にも「印鑑証明書」を求められるのが原則ですが、日本以外で「印鑑」という文化のある国は少ないです。そのため、印鑑証明書に代わる書類(例えば中国人であれば「公証書」)の提出をすることができます。
株式会社
日本国内において最もメジャーな法人が株式会社です。
株式会社とは、出資した人(株主)に対し「株式」というものを発行し、その出資を受けたお金で経営する会社のことをいいます。出資した人は、その会社の持ち主になります。
合同会社
日本国内で急速に増えているのが合同会社という会社です。
合同会社とは、出資した人(社員)に対し会社の「持分」というものを渡す会社です。そして、出資した人は、その出資した額を上限として責任を負う有限責任社員となります。有限責任社員は責任の上限があるため、出資者の財産が守られます。株式会社と同様、その会社の持ち主になります。
合同会社は株式会社と比べて安い出費で設立できるため、近年多く設立されています。
経営管理ビザとは?
外国人が会社を設立して日本に滞在し、その会社を自ら経営したい場合には、「経営管理」の在留資格が必要になります。
経営管理とは?
在留資格における経営管理とは、以下の活動です。
- 日本国内において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(ただし、外国法事務弁護士、外国公認会計士等の資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)
経営管理ビザの主な要件
経営管理ビザを取得するには、申請人が次のいずれにも該当していることが必要です。
- 申請に係る事業を営むための事業所が日本国内に存在すること。ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業所として使用する施設が日本国内に確保されていること。
- 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
- その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する2人以上の常勤の職員が従事して営まれるものであること。
- 資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。
- 上記2に準ずる規模であると認められるものであること。
- 申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
ビザを取得するには会社を設立した後、「在留資格認定証明書交付申請」を行います。
「経営・管理ビザ」は、日本で事業を経営したり、管理職として会社の運営に関わる外国人のための在留資格です。日本に滞在して、会社を立ち上げたり、その会社の経営に携わりたい外国人にとって不可欠なビザです。
● 他の在留資格との違い
| 在留資格 | 主な活動内容 | 対象者の例 |
|---|---|---|
| 経営・管理 | 会社を経営・管理する | 起業家、経営者、支店長など |
| 技術・人文知識・国際業務 | 企業で専門職として働く | IT技術者、通訳、マーケターなど |
| 特定技能・技能実習 | 主に現場労働が中心 | 外食業、建設業などの現場職員 |
「経営・管理」ビザは、現場で働くのではなく、会社を運営・管理する立場の人が対象です。単に会社に勤めたい場合は他のビザが必要になります。
● 在留期間と更新
初回は1年の在留期間が付与されることが多く、事業が安定し、条件を満たしていれば更新が可能です。経営管理ビザは最長で5年までの在留期間が付与されます。最終的には永住許可や経営管理分野での高度人材認定も視野に入れることができます。
● 資本金とは?
経営管理ビザの要件として、「資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること」という要件があります。
このうち資本金とは、会社の債権者のために確保しておくべき額の器をいいます。あくまで「器」であるため、実際にその額を純資産として用意しなければならないわけではありません。
資本金には会社の信用の基準としての役割と、法令の基準としての役割があります。例えば、「資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること」という条件も法令の基準としての役割といえます。
なお、会社設立後に資本金の額を増減する手続きはありますが、いずれも細かい手続きが求められているため専門家のサポートが必要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 会社を設立してもビザが取れないことはある?
A. あります。形式的に会社を作っても、実態のない会社や不十分な準備だとビザは下りません。事業所の確保、資本金の準備、しっかりした事業計画が必要です。
Q. 日本に住所がないけど登記できる?
A. 従来は不可能でしたが、現在は可能です。日本に住所を有しない外国人であっても、日本国内に株式会社を設立し登記を申請することができます。ただし、法人口座の開設や役所への届出などでは、日本の住所や連絡先が必要になる場面があります。日本国内の専門家に依頼するのが安心です。
日本語を話すのが難しいときは?
日本での会社設立やビザ申請では、多くの手続きが日本語で行われます。定款の作成、登記書類、ビザの申請書類、役所や法務局とのやり取りなど、専門的な日本語を理解して対応する必要があります。
そのため、日本語が話せないと思うように手続きが進まないことも考えられます。
日本語に不安がある場合は、次のような対応を検討するとよいでしょう。これにより、言語面での不安を軽減し、手続きの正確性を高めることができます。不安な場合は、最初の段階から専門家と連携し、サポート体制を整えておくことが成功の鍵になります。
● 通訳・翻訳サポートを利用する
地方自治体や商工会議所などが提供する無料または低価格の通訳サービスを活用できる場合もあります。契約書の内容確認や、役所での手続き時に役立ちます。
● パートナーやスタッフに協力を依頼する
日本語ができる日本人のパートナーや、信頼できるスタッフを見つけてサポートしてもらうのも現実的な方法です。通訳の方と同席するという方法もあります。
● 翻訳アプリなどを使用する
AndroidスマートフォンにおけるGoogle Playや、iPhoneにおけるApp Storeでも翻訳アプリが多くあります。これらを駆使するのも手でしょう。なお、相談役となる司法書士や行政書士がこれらのアプリケーションを使用することもあります。
まとめ
- 外国人でも日本で会社を設立することは可能
- 経営のためには「経営管理」ビザが必要
- 事業所の確保や資本金、事業計画の整備が重要
- 専門家に相談することで失敗リスクを下げられる
外国人が経営管理ビザを取得するために会社設立をするケースはよくあります。しかし、日本での起業はチャンスとリスクが表裏一体です。準備をしっかり整えて、確実な一歩を踏み出しましょう。
専門家への相談をおすすめします
外国人が日本で会社を設立して経営するには、法的・実務的なハードルがあります。ビザ申請や登記の準備を間違えると、計画が頓挫するリスクもあります。
司法書士や行政書士といった専門家に早めに相談することで、スムーズに事業をスタートできる可能性が高まります。


