「社会の役に立ちたい」「地域の課題を解決したい」——そんな想いから特定非営利活動法人(NPO法人)の設立を考える方は多くいらっしゃいます。しかし、設立にあたってまず立ちはだかる大きな壁が10人集めることです。
NPO法人は、設立時に最低10人の正会員(社員)が必要とされています。特定非営利活動法人の設立にあたってこの人数要件に悩む方も多いですが、実は対策があります。今回は、10人集まらないときの具体的な対策について解説します。
特定非営利活動法人における正会員と役員の違いは?
まず混同しがちなのが、「社員」と「理事」の違いです。
- 正会員(特定非営利活動法人の構成員):最低10人必要です。法律上は「社員」と呼ばれます。
- 役員(理事・監事):特定非営利活動法人には、役員として、理事3人以上及び監事1人以上を置かなければなりません。
そして、社員は法人の意思決定に参加する構成員であり、役員は法人の経営を行います。これらは従業員とは異なり、必ずしも日常的な活動に深く関わる必要はありません。
なお、正会員と役員は兼任することができます。そのため、合計で14人集める必要はありません。
特定非営利活動法人の正会員をお願いできる人を探す
10人集めるための現実的な方法は次の通りです。
● 趣旨に賛同してくれる知人・友人に協力を依頼
親族や友人、会社の同僚などに「設立時に正会員となってもらえないか」とお願いしてみましょう。設立後に脱退することも可能なので、まずはスタートを切ることが大事です。
● 他のNPO団体やボランティア団体との連携
同じ分野で活動する他団体のメンバーや支援者に声をかけるのも有効です。保健、医療又は福祉の増進を図る活動、人権の擁護又は平和の推進を図る活動など、特定非営利活動にはいくつかの種類があり、これらの活動を行う団体と連携することで10人の要件を満たしやすくなります。
● SNSや地域の掲示板で広く呼びかける
FacebookやX(旧Twitter)などで募集をかけると、意外と賛同者が見つかることもあります。ただし、顔の見えない相手とやり取りすることになるため注意が必要です。
SNSなどインターネット上で正会員の募集をすると、「あやしい団体」と勘違いされるリスクもあります。
● 異業種交流会に参加する
さまざまな業種と出会える交流会に参加してみるのも手です。異業種交流会で出会った方が正会員となってくれるというケースもあります。
家族や知人でもOK?特定非営利活動法人の正会員に関する注意点
正会員の資格の得喪に関する事項は定款で定めますので、定め方次第では家族や友人でもOKです。ただし、以下の点に注意しましょう。
- 当然ながら実在する人物であることが必要です。架空の人物は正会員にはなれません。
- 設立趣旨に形式的でも賛同してもらえることが重要です。
- 法人を代表する理事については住所・氏名が登記されるということに注意が必要です。
他の法人でスタートするという選択肢も
「どうしても10人集まらない」という場合、他の法人としてまず設立し、後に特定非営利活動法人を設立して移行するという方法もあります。
- 一般社団法人は社員2名から設立可能 ⇒参考記事:一般社団法人とは?NPO法人との違い・設立メリットとデメリットを解説
- 労働者協同組合(ワーカーズコープ)は組合員3名以上から設立可能でNPO法人と似た点も多い ⇒参考記事:ワーカーズコープは流行る?労働者協同組合のメリットと合同会社との違いを解説
他の法人を設立する方法なら、設立のハードルを下げつつ、将来的にNPO法人を設立することも目指せます。ただし、他の法人でスタートする場合は二重で法人設立することにもなるため、状況次第ではスマートとはいえない場面も。まずは法人に詳しい司法書士や行政書士などに相談しましょう。
まとめ
特定非営利活動法人を設立するには最低人数として10人必要ですが、それがハードルになってNPO法人としての活動を諦めるのはもったいないことです。
柔軟な発想で人を集める、他の法人からスタートするなど、工夫次第で道は開けます。
設立に不安がある方は、専門家に相談するのもおすすめです。司法書士や行政書士が、手続き面だけでなく運営のアドバイスもしてくれますので、まずは法人に詳しい専門家に相談してみましょう。


