戸籍制度は、日本の国民一人ひとりの身分関係を記録・管理するための根幹をなす制度です。しかし、長期間にわたり生死が不明な場合、戸籍が現実の状態と一致しなくなることがあります。
こうしたケースに対応するために設けられている制度の一つが「職権消除」です。今回は、戸籍の職権消除について解説します。
高齢者消除について
高齢者消除とは?
通常、死亡の届出や失踪宣告等により、戸籍から削除されます。しかし、何らかの理由によりこれらの削除がされずに通常は生存していないであろう高齢者が戸籍に残り続ける場合があります。
そのような場合、市町村長は、管轄法務局長等の許可を得て、戸籍に死亡の記載をすることができます。これを、「高齢者消除」と呼びます。
高齢者消除の例
例えば、100歳以上の高齢者について、その人の所在が不明であり、その生死や所在について調査資料を得ることができない場合、高齢者消除がされることがあります。
高齢者消除の背景
一般に、住民基本台帳に長期間記録がなく、所在不明となっている高齢者については、以下のような事情から職権消除がされることがあります。
- 生存確認が何十年にもわたり取れていない
- 死亡届や失踪宣告もされていない
このような場合、150歳や200歳の人が戸籍上生存していることになっていることがあります。
このような状態が長期に続くと、戸籍記録が現実の状況と乖離し、相続・年金・福祉行政などに支障をきたす恐れが出てきます。そのため、市町村長は、調査のうえ、職権で戸籍を消除することがあります。
高齢者消除と相続登記
高齢者消除がされた戸籍には、「○○局長の許可により同月△日消除」というような記載があります。
そして、この戸籍謄本をもって相続の開始を証する書面とすることはできるのでしょうか?
結論としてはできません。
この場合、死亡の届出により死亡とされた日や、失踪宣告により死亡とみなされた日が戸籍に記載されることにより、はじめて相続登記の申請が可能となります。
死亡の届出や失踪宣告等をせずにそのまま相続登記を申請することはできないということになります。
まとめ
150歳の人が戸籍上生存しているというような話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
高齢者の職権消除は、行政が現実の実態に合わせて戸籍記録を整備するための措置です。
ただし、安易に適用されるものではなく、慎重な調査と手続きが求められます。いずれにしても、早めに専門家に相談することが重要です。


