マンションを適切に維持・管理するためには、区分所有者全員が協力して意思決定を行う「管理組合」の活動が欠かせません。管理組合は法人格を持たない任意団体ですが、区分所有法に基づき法人化することで「管理組合法人」となることができます。
管理組合法人になると、どのような権限を持ち、どのように活動できるのでしょうか。今回は、管理組合法人の権限について詳しく解説します。
管理組合法人とは
管理組合法人とは、区分所有法第47条以下の規定に基づき、管理組合が法人格を取得したものをいいます。法人格を取得することによって、法律上の権利能力を持ち、組合名義で契約や登記などを行えるようになります。
管理組合が法人化するには、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることが必要です。
管理組合法人の主な権限
管理組合法人の権限は、主に共用部分の管理、財産の管理、契約や登記に関する権限、そして規約や総会決議に基づく活動に分けられます。
事務の代理権
管理組合法人は、区分所有者を代理する権限を持ちます。
また、損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、代理権が認められています。
共用部分の管理
管理組合法人は、建物の共用部分を保存や小規模な修繕等をすることができます。
共用部分の修繕や改良、維持に必要な契約を締結でき、さらに修繕積立金を徴収して管理することが可能です。法人名義で工事業者と契約を締結できることにより、責任の所在が明確となり、区分所有者個人に負担が及ぶことを避けられます。
財産の保有
管理組合法人は、法人名義で銀行口座を開設し、資金を管理することができ、管理費や修繕積立金も法人の財産として保有します。必要に応じて金融機関からの借入れや火災保険などの加入も可能です。法人格を持つことで、資金管理が透明かつ安定的に行いやすくなる点は大きな特徴です。
契約名義人や訴訟の当事者になること
管理組合法人は、工事請負契約や管理会社との委託契約を法人名義で締結することができ、不動産登記簿上でも管理組合法人として登記を受けることが可能です。加えて、裁判上や裁判外において当事者となることができるため、管理組合が原告や被告となって裁判を行う場合にも法人名義で手続きを進めることができます。
※管理組合法人が規約により訴訟の原告または被告になったときは、区分所有者への通知が求められています。これは、仮に通知をしないでおくと、管理組合法人が第三者を訴えた(訴えられた)ことを知らない区分所有者もいるためです。
法人格を持つことによるメリット
上項で解説したとおり、管理組合法人として法人化することにより、いくつかの権限を持つことができます。
それによって得られるメリットは多岐にわたります。法人名義で契約や登記ができるため法的安定性が高まり、区分所有者個人が直接契約の当事者となるリスクを軽減できます。また、法人格を持つことで外部からの信用力も増し、金融機関との取引も容易になります。さらに、裁判などの法的手続きを法人として一元的に行えるため、管理組合の活動がスムーズになります。
注意点
管理組合が法人化しても、経費削減や節税対策には向かない点に注意が必要です。
税法上の話だと、法人税法上、「法人ではない管理組合」も、「管理組合法人」も、公益法人等とみなされ、非収益事業のみ法人税が課税されない取扱いです。また、管理組合法人は消費税法の規定も適用される法人です。
そのため、何の目的もないのであれば、法人化を目指すべきとはいえないでしょう。
まとめ
管理組合法人は、マンションの共用部分の管理、財産の保有や管理、契約や登記、さらには裁判上の手続きまで幅広い権限を持っています。これらの権限を行使することで、マンション管理の安定性や効率性が大きく向上します。ただし、管理組合法人の権限は無制限ではなく、区分所有法や規約、総会決議に基づいて行使されるものである点に注意が必要です。
マンション管理をより適切に進めるためには、管理組合法人の権限とその限界をしっかり理解したうえで組合運営を行うことが大切です。


