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相続財産法人とは?相続人不存在のときの流れについて解説

その他法人

相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人となります。この「相続財産法人」というものはどのようなものなのでしょうか。

実は相続財産法人はすごい法技術が使われています。これは、誰も管理しなくなった財産自体を法人化して法律上の行為の主体にしてしまうという、かなり画期的な制度です。

今回は、相続財産法人とは何か、どのような場合に成立し、相続不存在はどのような手続きが必要なのかを、解説します。

相続財産法人とは?

相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人となります。これを相続財産法人といいます。相続財産法人は会社や一般社団法人などとは異なり、定款や登記をすることなく要件さえ満たせば成立します。

そして、法人であるため、相続財産法人自体が不動産の名義人になったりすることもできます。

相続人のあることが明らかでないときとは?

相続人のあることが明らかでないときとは、「相続人がいない場合」または「相続人が全員相続放棄した場合」などの場合をいいます。

ただし、相続人がいることは明らかであるものの、行方が分からないときや、生死が分からないときは「相続人のあることが明らかでないとき」にはあたらないため、相続財産法人は成立しません。

包括受遺者(財産全部または一部をまとめて受け取る受遺者)がいる場合も、「相続人のあることが明らかでないとき」にはあたりません。

相続財産法人は、「権利能力なき社団」や「権利能力なき財団」とは異なり、法人であるため民法上の権利義務の主体となります。

相続人不存在の手続きの流れ

相続人不存在の時、相続人の捜索を行います。捜索は以下の流れによって行われます。

相続財産清算人の選任申立て・相続人の捜索の公告

家庭裁判所に相続財産清算人選任の申立てを行います。

申立権者: 利害関係人、検察官
申立先: 家庭裁判所

家庭裁判所は、相続財産清算人を選任した旨と、相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告します。これが相続人の捜索の公告です。この一定の期間内は、6か月以上となります。

かつては「相続財産管理人」と呼ばれていましたが、民法の改正により、「相続財産清算人」と呼ばれるようになりました。現在でも相続財産管理人と呼ぶ人もいます。

債権者・受遺者の捜索

相続財産清算人は、全ての債権者と受遺者に対し、2か月以上の期間を定めて、その期間内にその請求の申出をすべき旨を公告します。この公告は、上記の相続人の捜索の公告の期間である6か月間の間に行われます。

相続人・債権者・受遺者の権利の消滅

相続人の捜索の公告の期間内に、相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の清算人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができなくなります。

特別縁故者への分与

相続人・債権者・受遺者の権利の消滅後、特別縁故者は、3か月以内に財産の分与を請求することができます。

特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者(例:内縁の配偶者)、被相続人の療養看護に努めた者(例:老人ホーム)その他被相続人と特別の縁故があった者のことをいいます。ただ単に同居していただけでは特別縁故者として認められません。

そして、家庭裁判所は、特別縁故者の請求によって、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができます。

法人も特別縁故者となることができます。例えば、老人ホームを経営するのは社会福祉法人であることが多いです。この社会福祉法人が、特別縁故者となり、財産の分与を受けることも可能です。

財産に不動産がある場合、「民法第958条の2の審判」を原因として、特別縁故者への所有権移転登記を申請することが可能です。

処分されなかった財産の帰属

上記までに処分されなかった財産は、単有か共有かによって以下のとおり処分されます。

単独で所有していた場合

亡くなった方が単独で所有していた場合、処分されなかった相続財産は、国庫に帰属します。

他の人と共有で所有していた場合

共有であった場合、処分されなかった相続財産は、他の共有者に帰属します。

ただし、財産の中にマンションの敷地利用権がある場合、その敷地利用権は他の共有者(区分所有者)に帰属せず、国庫に帰属します。この場合において、マンションの規約で敷地利用権と区分所有権とを分離して処分することができるようになっている場合は、他の共有者(区分所有者)に帰属します。

最初の相続財産清算人の選任申立てからここまで、法律上の最短期間は9か月です。実務上は9か月で終わることはほぼなく、もっとかかるのが一般的です。

登記の実務

相続財産法人の名義で登記を行う必要がある場面があります。この場合、不動産登記簿上の名義人を「亡○○(被相続人名)相続財産」とする登記の申請が必要となります。

【記載例】不動産登記簿の表記

登記の目的:〇番登記名義人氏名変更
原因: 令和年月日相続人不存在

変更後の事項:亡○○相続財産

この名義変更は名変と呼ばれる登記であり、売買や相続登記などと同様の所有権移転による名義変更ではなく、住所が変わったときと同じ変更登記手続きによる名義変更となります。

この登記の申請には、登記原因証明情報として、亡くなった方の戸籍や相続財産清算人の選任審判書が必要となります。

まとめ

いかがだったでしょうか。

相続財産法人は、相続人がいない場合でも財産を適正に処理し、債権者や受遺者、特別縁故者への配慮を可能とする制度です。一見特殊なケースですが、高齢化や単身世帯の増加により、今後対応が必要になる事案も増加することが予想されます。

司法書士などの専門家による手続きのサポートが不可欠な制度でもありますので、ご相談はお早めにされることをおすすめします。

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