司法書士ライターのTです。
今回は、代表取締役等住所非表示措置について解説していきます。
代表取締役等住所非表示措置とは、商業登記規則などの改正により、令和6年10月1日から施行される新しい制度で、株式会社の商業登記簿において代表取締役等の住所の一部を非公開にする制度です。
この「代表取締役等」とは、代表取締役、指名委員会等設置会社における代表執行役、清算株式会社における代表清算人が該当しますが、当記事では単に「代表取締役」と記載します。
株式会社の代表取締役については、原則としてその住所が登記されます。

これでは、プライバシー保護の面での問題がありました。住所を知られたくないために、代表者になることを躊躇したりすることもあります。登記情報は誰でも取得できるため、住所が広く一般に公開されてしまうことになります。
そこで、住所の一部を非公開にする制度ができました。

この措置をとることにより、代表取締役等の住所は最小行政区画までしか表示されないことになります。
最小行政区画とは、市区町が該当します。ただし東京都においては特別区まで、指定都市においては区までとなります。
たとえば北九州市に住所がある場合、「小倉南区」や「戸畑区」といった区までの表示となります。
◆申出の方法
①登記申請と同時に申出をする
住所の一部を非公開にするには、株式会社の設立や代表取締役の就任などの登記申請と同時に申出をする必要があります。登記の申請をせず、措置の申出のみをすることはできません。
また、代表取締役の住所が登記される登記申請と同時に申出をしなければなりません。例えば会社の目的の変更登記では代表取締役の住所は登記されませんので、登記の申請と同時であっても措置の申出をすることはできません。
②添付書面
登記申請の添付書面のほか、追加で添付書面が必要となります。登記申請を司法書士に依頼した場合、下記の書面が添付書面となります。
a:司法書士が株式会社の本店所在場所における実在性を確認した書面
b:代表取締役等の氏名及び住所が記載されている市町村長等による証明書
住民票の写しなどが該当します。
c:実質的支配者の本人特定事項に関する記録の写し
【上場会社の場合】
a:株式会社の株式が上場されていることを認めるに足りる書面
◆措置のメリット
①プライバシー保護
この措置により、代表取締役の住所が一部非公開になるため、プライバシー保護になります。上記に記載した通り、登記情報は誰でも取得できるため、代表取締役の住所が広く一般に公開されてしまいます。
しかし代表取締役等住所非表示措置の申出をすることにより、例えばバーチャルオフィスを本店とし、自宅で事業を行う会社を設立する際に申出を行うことで、自宅の住所が登記記録に記載されなくなるため、住所非公開で会社としての事業を行うことができるようになります。
◆措置のデメリット
①法務省が発表しているもの
金融機関から融資を受けるに当たって不都合が生じたり、不動産取引等に当たって必要な書類が増えたりするなどの影響について発表されています。
②司法書士費用が追加で発生する
措置の申出にあたって、司法書士が必要書類を作成するため、追加で司法書士費用がかかります。
◆注意点
・代表取締役の住所が一部非公開となった場合においても、代表取締役の住所が変わった場合、代表取締役の住所変更の登記を申請しなければなりません。
代表取締役の住所変更登記の申請を怠ると、登記懈怠として100万円以下の過料に処せられる可能性があります。
・代表取締役等住所非表示措置の申出がされずに代表取締役の変更登記等を申請している場合は、その後に登記される住所については代表取締役等住所非表示措置が講じられません。
・施行日時点では株式会社のみが対象です。合同会社の代表社員や一般社団法人の代表理事などは対象外です。
また有限会社も対象外とされています。
◆まとめ
・株式会社において代表取締役等のプライバシー保護をする制度
・会社設立の登記や代表取締役の就任登記の申請と同時に申出する
・特に、変更登記義務はなくならない点、申出がされず登記されている代表取締役は対象外となる点に注意
今回は以上となります。
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