株式会社を設立する際には、「定款」という書類を作成する必要があります。定款は、会社の基本的なルールを定める「会社の憲法」ともいえる非常に重要な書類です。
今回は、定款とは何か、その作成方法や記載すべき事項、注意点について解説します。
定款とは?
定款とは、会社の組織や運営に関する基本的なルールを記載した書面です。株式会社を設立するには、発起人がこの定款を作成し、公証人による認証を受ける必要があります。
定款に記載すべき「絶対的記載事項」
定款には、法律上必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」があります。これを欠くと定款自体が無効になってしまいます。
目的
会社が行う事業の内容を記載します。法律上はあまり厳格にはみられないため、目的外の事業を行っている会社も少なくはありません。
株式会社の設立の際は、将来行う可能性のある事業も目的に含めて設定するのが一般的です。
商号
商号とは、会社の名前のことです。商号には「株式会社」の文字が含まれていなければなりません。
本店の所在地
会社の本店住所を記載します。所在地とは市町村(東京23区の場合は区)のことをいいます。そのため、定款に記載するのは市区町村までの記載で足ります。
本店の所在地は、日本国内でなければなりません。
設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
出資者が払い込む資本金の額を記載します。
「金500万円とする」というように定めます。
発起人の氏名または名称及び住所
発起人とは株式会社を設立する人のことをいい、氏名・住所を記載します。
発起人は法人がなることもでき、その場合は名称・住所を記載します。
※発行可能株式総数
発行可能株式総数は、定款作成時に記載する必要はありませんが、会社が成立するまでに定めなければなりません
任意的記載事項と相対的記載事項
任意的記載事項
会社法上、記載しなくても定款としては有効ですが、記載することによって法的な効力を持たせることができる事項です。会社の運営ルールを柔軟に定めるために使われます。
例:
- 取締役の員数や任期
- 株主総会の招集手続き
- 公告をする方法(官報や日刊新聞、電子公告など)
公告方法を定款に定めなかった場合、自動的に「官報に掲載してする方法」が公告方法となります。
相対的記載事項
相対的記載事項とは、定款に記載することで初めて法的効力が生じる事項のことです。つまり、法律で「定款に書いてあれば有効」とされている内容であり、書かれていなければ効力が発生しない点が特徴です。
記載を忘れると意図した効力が発生しないため、注意が必要です。
変態設立事項
変態設立事項とは、定款に記載することで初めて法的効力が生じる事項のことをいいます。変態設立事項には以下の4つがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 現物出資に関する事項 | 設立時に金銭以外の財産(例:車、不動産、株式など)を出資する場合、その内容などを定款に記載する必要があります。 |
| 財産引受に関する事項 | 設立後に会社が特定の財産を取得することをあらかじめ定める場合、その対象・条件などを定款に記載します。 |
| 発起人の報酬 | 設立行為を行ったことに対して発起人が報酬を受ける場合、定款に定めが必要です。 |
| 設立費用 | 定款の認証料や設立登記の登録免許税など、会社設立にかかる費用を会社が負担する場合は定款に記載します。 |
機関に関する事項
取締役会を置く場合や、監査役会を置く場合など、機関に関する事項は定款に定めておかなければなりません。
「取締役会を置くことができる」というような、取締役が任意で決めることができてしまうような定めは無効です。
この場合、「取締役会を置く」と定めなければなりません。
ポイント
特に現物出資は、税務・評価など専門的な判断が求められるため、専門家に相談することをおすすめします。
相対的記載事項は「記載しなければ無効」ですが、記載してもしなくても定款自体の効力には影響しません(≠絶対的記載事項)。
電子定款と紙の定款の違い
定款は紙または電子定款(データ)として作成できます。それぞれ以下の違いがあります。
- 紙の定款:定款認証にあたり、印紙税として4万円が課税されます。
- 電子定款:電子署名が必要ですが、印紙税が非課税になります。
費用を抑えたい場合は、電子定款による作成がおすすめです。司法書士などの専門家に依頼すると、定款を電子定款で作成します。
定款の認証手続き
株式会社においては、作成した定款は公証人役場で認証を受けなければなりません。認証にあたっては、認証料がかかります。
公証人の認証費用:1.5~5万円
- 資本金の額等が100万円未満の株式会社であって、以下のいずれにも該当する場合、15,000円となります
- 発起人の全員が自然人であり、かつ、その数が3人以下であること。
- 定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載又は記録があること。
- 定款に取締役会を置く旨の記載又は記録がないこと。
- 資本金の額等が100万円未満の株式会社であって、上記のいずれか1つでも該当しないものがある場合、30,000円となります。
- 資本金の額等が100万円以上300万円未満の場合、40,000円となります。
- 資本金の額等が300万円以上の場合、50,000円となります。
定款の変更ルールについて
会社を設立した後でも、株主総会の決議によって定款を変更することができます。
そして、事業の拡大や経営方針の変更に伴って定款の内容を変更する必要が出てくることがあります。本項では、定款を変更するためのルールや注意点を解説します。
定款変更には原則「株主総会の特別決議」が必要
株式会社の定款を変更するには、株主総会の特別決議を経なければなりません。特別決議とは、以下の要件を満たす決議です。
- 議決権を持つ株主の過半数が出席
- 出席した株主の3分の2以上の賛成
たとえば、目的の追加や商号の変更、本店所在地の移転など定款に記載されている事項を変更する場合、この決議が求められます。
公告方法の変更なども定款変更に該当
公告方法(官報か日刊新聞かなど)や発行可能株式総数、役員構成などを変更する場合も、定款変更となります。
定款変更登記が必要なケース
定款を変更しても、それが登記事項に該当する場合は、法務局に変更登記を申請する必要があります。主な登記事項は以下の通りです。
- 商号
- 本店所在地
- 目的
- 発行可能株式総数 など
登記申請は、変更があった日から2週間以内に行う必要があるため、注意が必要です。
まとめ
定款は会社のルールブックであり、定款は会社運営の根幹となる非常に重要な書類です。株式会社を設立する際には、法律で定められたルールに従い、正確かつ適切に作成することが求められます。不備があると設立登記ができず、時間や費用の無駄になることもあるため、専門家に依頼するのも一つの方法です。
そして、定款の内容は設立時だけでなく、事業の変化に応じて見直す必要があります。変更の際は、株主総会の特別決議が必要になり、また変更登記の申請も求められる場合があります。
定款変更を検討されている方は、手続きや登記義務の有無についても含めて、司法書士などの専門家に相談されることをおすすめします。


