当ブログでは、多彩なジャンルの記事を投稿しています。

特定目的会社(TMK)とは?特徴、メリットや設立登記について解説

特定目的会社

特定目的会社(TMK:Tokutei Mokuteki Kaisha)は、日本において資産の流動化や証券化を目的として設立される特別な法人形態です。「資産の流動化に関する法律」に基づき導入され、不動産などの資産を証券化し、資金調達を行うための仕組みとして利用されています。

今回は、特定目的会社の概要、特徴やメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。

特定目的会社(TMK)とは?

特定目的会社(TMK)は、資産流動化法に基づき、特定の資産を保有し、その資産から生じるキャッシュフローを活用して資金調達を行うために設立される法人です。TMKは資産を流動化するための器になります。

特定目的会社は、主に以下のような目的で利用されます。

  • 資産の証券化:すぐに現金化が難しい不動産を証券化し、投資家に販売することで資金を調達
  • オフバランス化:企業が保有する資産をバランスシートから切り離し、リスクの軽減や財務の効率化を図る。
  • プロジェクトファイナンス:特定のプロジェクトのための資金調達を目的とした仕組み。

TMKは、資産流動化の透明性や効率性を高めるために設計されており、投資家保護やリスク管理の観点から厳格な規制が課されています。

TMKの法的枠組み

TMKは、「資産の流動化に関する法律」に基づいて設立されます。この法律は、資産の証券化を円滑に進めるための枠組みを提供し、TMKの設立・運営に関するルールを定めています。主なポイントは以下の通りです。

  • 届出:TMKは、資産の流動化に係る業務を行うときは、あらかじめ内閣総理大臣に届け出なければなりません。
  • 事業範囲の制限:TMKは、資産流動化計画に記載された特定の目的(資産の取得・管理・証券化など)に限定して事業を行うことが求められます。
  • 監督と監査:TMKには、監査役や会計監査人の設置が義務付けられています。資産流動化計画に基づく運営状況について定期的に報告義務を負い、監査法人による外部監査を受ける必要があります。

資産対応証券として特定社債のみを発行する特定目的会社であって、資産流動化計画に定められた特定社債の発行総額と特定借入れの総額との合計額が一定の額に満たないものにあっては、会計監査人を置かないことも認められます。

TMKの仕組みと運用フロー

TMKの運用は、資産の取得から証券化、資金調達、投資家への配当までの一連のプロセスで構成されます。以下に、TMKの基本的な仕組みを説明します。

資産の取得

TMKは、オリジネーター(資産を保有する企業や金融機関)から特定の資産(不動産)を購入します。この資産は、キャッシュフローを生み出すものでなければなりません。

資産流動化計画の策定

TMKは、取得した資産をどのように管理・運用し、どのような証券を発行するかを定めた「資産流動化計画」を作成します。

証券の発行と資金調達

TMKは、資産を裏付けとして、投資家向けに証券を発行します。
この証券を投資家等へ売却することによりTMKは資金を調達し、オリジネーターに資産の購入代金を支払います。

上記の流れこそがTMKが「器」といわれる所以です。

TMKの特徴

TMKには、一般の株式会社や他の法人形態とは異なる以下の特徴があります。

目的の限定性

TMKは、資産の流動化が目的であるため、通常の株式会社のような営業を行うことはできません。この限定性により、投資家にとってリスクが明確化されます。

TMKの活用例

不動産の証券化:

  • 商業不動産:ショッピングモールやオフィスビルなどの賃料収入を裏付けとした証券化。
  • 住宅ローン:住宅ローンの債権をTMKが取得し、MBS(住宅ローン担保証券)として発行。
  • リート(REIT)との連携:不動産投資信託(J-REIT)の組成において、TMKが資産保有の受け皿として利用される。

TMKのメリットとデメリット

メリット

  • 資金調達の多様化:企業は、従来の銀行融資や株式発行以外の方法で資金を調達可能。
  • リスクの分散:資産をTMKに移すことで、オリジネーターのバランスシートからリスクを切り離せる。
  • 投資家への魅力:安定したキャッシュフローを提供する資産(不動産や債権)を裏付けとした証券は、投資家にとって魅力的な商品となる。
  • 税制優遇:不動産取得税の軽減措置など、特定の条件下で税務上のメリットを受けられる。

デメリット

  • 複雑な手続き:資産流動化計画の策定や監督当局への届出、監査など、手続きが煩雑。
  • コストの高さ:TMKの設立・運営には、設立に関する定款認証や登記費用のほか、専門家への報酬など高額なコストがかかる。
  • 市場リスク:証券化商品の価値は市場環境や資産の収益力に依存するため、経済状況の変動によるリスクが存在。

TMKの設立手続き

TMKの設立手続きについて大まかな流れを解説します。

定款の作成

TMKを設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければなりません。そして、TMKの定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければなりません(絶対的記載事項)。

  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店の所在地
  4. 特定資本金の額
  5. 発起人の氏名又は名称及び住所
  6. 存続期間又は解散の事由

特定資本金とは、特定出資の発行に際して特定社員となる者が特定目的会社に対して払込み又は給付をした財産の額のことをいいます。

定款の認証

特定目的会社の定款は、公証人の認証を受けなければなりません。

通常の株式会社とは異なり、「実質的支配者となるべき者の申告書」の提出は求められません。

定款の認証料は、特定目的会社の資本金の額等によって異なり、資本金の額等が100万円未満の場合は「3万円」に、資本金の額等が100万円以上300万円未満の場合「4万円」に、その他の場合「5万円」となります。

出資の履行

発起人は、設立時発行特定出資の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行特定出資につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければなりません。この払い込みは、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所においてしなければなりません。

設立時役員の選任等

発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役及び設立時監査役、設立時会計監査人を選任しなければなりません。

設立時会計監査人の設置が義務づけられないTMKにおいては、設立時会計監査人を定める必要はありません。

設立の登記

特定目的会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から2週間以内にしなければなりません。

  • 設立時取締役及び設立時監査役による調査が終了した日
  • 発起人が定めた日

登記事項

TMKの設立登記においては、以下の事項を登記しなければなりません。

  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店及び支店の所在場所
  4. 特定目的会社の存続期間又は解散の事由
  5. 特定資本金の額
  6. 発行した特定出資の総口数
  7. 特定社員名簿管理人を置いたときは、その氏名又は名称及び住所並びに営業所
  8. 電子提供措置をとる旨の定款の定めがあるときは、その定め
  9. 取締役及び監査役の氏名及び住所
  10. 取締役のうち特定目的会社を代表しない者があるときは、代表取締役の氏名
  11. 特定目的会社が会計参与設置会社であるときは、その旨並びに会計参与の氏名又は名称及び書類等備置場所
  12. 特定目的会社が会計監査人設置会社であるときは、その旨及び会計監査人の氏名又は名称
  13. 第七十六条第四項の規定により選任された一時会計監査人の職務を行うべき者を置いたときは、その氏名又は名称
  14. 貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要な事項(貸借対照表を公開したWEBサイトのURLなど)
  15. 定款で定めた公告方法
  16. 公告方法の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項
    • 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項(公告をするWEBサイトのURLなど)
    • 予備的公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め
  17. 公告方法に関する定款の定めがないときは、官報を公告方法とする旨

まとめ

特定目的会社(TMK)は、資産の流動化や証券化を通じて資金調達を行うための重要な仕組みです。資産流動化法に基づく厳格な規制のもと、透明性や倒産隔離を確保しつつ、企業や投資家に多様なメリットを提供します。今後もESG投資やデジタル化の進展に伴い、その役割がさらに拡大することが期待されます。
ただし、TMKの設立・運営には複雑な手続きやコストが伴うため、利用を検討する企業は専門家の助言を得ながら慎重に計画を進める必要があります。TMKを活用することで、企業は資金調達の多様化やリスク管理の強化を実現し、投資家にとっても魅力的な投資機会を提供できるでしょう。

司法書士ランキング

タイトルとURLをコピーしました