司法書士ライターのTです。
マンションを買った、譲り受けた、相続した等により取得した場合、マンションの名義変更(所有権移転登記)が必要です。そして所有権移転登記の申請を行うには、さまざまな費用が発生します。本記事では、費用の内訳や節約のポイントについて解説します。
マンションの名義変更と、それにかかる費用について
マンションの名義変更には、マンションの区分所有権のほかに敷地分の移転も必要になります。
マンションの名義変更が必要なケース
マンションの名義変更(所有権移転登記)は、以下のような場合に必要になります。なお、マンションの所有者のことを区分所有者といい、マンションの所有権のことを区分所有権といいます。本記事でも基本的に「区分所有者」や「区分所有権」という用語で記載しています。
相続
マンションの名義人が亡くなった時は、そのマンションの区分所有権は相続人に移転します。
マンションの登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければなりません。そして、正当なく相続登記を申請しないときは10万円以下の過料に処せられる可能性があります。
多くのマンションでは敷地持分の移転登記も必要なため、相続登記の申請も戸建ての相続登記に比べて難易度が高いです。よほどのことがない限り司法書士に依頼するようにしましょう。
贈与
マンションを譲り受けた場合、そのマンションの区分所有権は譲り受けた人に移転するため、所有権移転登記を申請する必要があります。相続登記とは異なり申請義務があるわけではないのですが、登記を備えておかないといざという時に権利を失うリスクがあります。
売買
マンションを購入した場合も同様、そのマンションの区分所有権は購入した人に移転するため、所有権移転登記を申請する必要があります。
売買や贈与などにより所有権移転登記を申請するには、マンションを取得した際の登記識別情報(権利証)が必要となります。売主や譲渡人がもしも権利証をなくしてしまった場合でも登記の申請はできますが、権利証が使えないため司法書士へ追加費用を支払う必要が出てきます。
財産分与
離婚した時、離婚をした者の一方が他方に対して財産の分与を請求することができます。これを財産分与といいます。財産分与という制度は、夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の公平な分配だという考え方が一般的です。
そして、財産分与によりマンションの所有権を夫または妻名義に変更する場合、それによりマンションの区分所有権が移転するため、所有権移転登記を申請する必要があります。
マンションの名義変更にかかる費用について
名義変更にかかる主な費用について見ていきましょう。
登録免許税は、所有権移転登記の際に必要となる税金で、以下の計算式で求められます。
登録免許税額 = 固定資産税評価額 × 税率
税率は以下のとおりです。
【区分所有権】
相続:0.4%
贈与・売買等:2%
売買による移転において、新築後使用されたことのないマンション等の一定の条件を満たすことで登録免許税の軽減措置もあります。そのため司法書士へ依頼する方が確実です。例えば0.3%でよいところを2%払ってしまったというようなことを防げます。仮にマンションの価額が1000万円だとすると、3万円でいいところを20万円も払ってしまったということになり、司法書士費用より多い余分な額を払ってしまうことになります。
【敷地】
敷地の持分だけ課税価額となります。例えば敷地持分が1000分の50なら、その50の持分に対して以下の税率を掛けます。
相続:0.4%
贈与・売買等:2%
こちらも売買による移転において軽減措置があります。
【計算例】
例えば相続登記を申請する場合に区分所有権の価額が1000万円、敷地200万円とすると、以下のとおり登録免許税がかかります。
相続:1,000万円 × 0.4% = 4万円
200万円 × 0.4% = 8,000円
計 48,000円
司法書士報酬
司法書士費用は事務所によって異なりますが、おおむね以下の額になることが多いです。
相続:10万円
贈与・売買等:10~20万円
司法書士に依頼する分、司法書士報酬が発生しますが、書類作成や登記申請を代行してもらえるため、安心して手続きを進められます。
不動産取得税・相続税
ここでは所有権移転登記以外の費用についてもざっくりと解説しています。
・不動産取得税
不動産取得税とは、マンションやその敷地を取得した際にかかる税金です。
ただし相続による取得の場合、不動産取得税は免税となります。
【区分所有権】
不動産取得税:(取得した不動産の価格-控除額)× 3%
※住宅用ではない場合、4%となります。
【敷地】
不動産取得税:取得した不動産の価格 × 3%
※宅地等の場合、土地の価格に2分の1を乗じます。
・相続税
相続税とは、亡くなった方からお金や土地などの財産を相続した場合に、その財産にかかります。マンションや土地だけではなく、預貯金や株式なども含めて計算します。
相続税が発生するかどうかイメージが難しい場合、相続した財産一覧をざっくりと確認し、基礎控除額を超える場合は発生する(可能性が高い)と考えるのがよいでしょう。
相続税の基礎控除額:3000万円+相続人の数×600万円
その他の費用
・印紙代
売買契約書などに貼る印紙代がかかります。マンションの場合、おおむね2万円前後が多いでしょう。
・固定資産評価証明書
1通300円程かかります。
・戸籍謄本や住民票等
1通300~750円ほどかかります。自治体のホームページなどで確認するとよいでしょう。
費用を抑えるポイント
・司法書士に依頼する
司法書士に依頼すると司法書士報酬が発生します。しかし上記で触れたとおり、軽減措置などを知らずに登記を申請してしまうと、司法書士報酬分以上の余分な額を納めてしまうことになりかねません。また、軽減措置を利用せず登録免許税を納めたとしても、還付を受けることはできません。
そのため、司法書士に依頼する方がかえって費用を抑えられるというケースもあります。
・自分で登記申請する
登記に関する知識がある場合、司法書士報酬分を抑えるため自分で申請する方法もあります。しかし、マンションの登記は難易度が高いです。また、万一手続きに不備があったり誤った登記がされたとしても、自己責任となります。
法務局では権利の法的な内容までは審査しません。あくまでも登記の申請書面がそろっているかどうかの審査がされます。誤った書面で申請すると、誤った登記がそのままされてしまう原因になります。
・特例や控除を活用する
上記で解説した通り、登録免許税の軽減措置などを利用することで、費用を抑えることができます。
まとめ
マンションの名義変更にかかる費用は、ケースによって異なります。特に、登録免許税や不動産取得税が大きな負担になることが多いため、特例を活用して負担を軽減しましょう。
また、手続きに不安がある場合は、司法書士に相談するとスムーズに進められます。名義変更を検討している方は、早めに準備を進めることをおすすめします。


