司法書士ライターのTです。
猫を飼うことは、私たちに癒しと喜びを与えてくれます。家に猫がいることでストレスが大幅に軽減されるという話もあります。しかし、猫を飼う際には法律やルールを守ることが必要です。今回は、猫を飼う際に知っておきたい代表的な法律について解説します。
動物愛護法
動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動物愛護法といいます)とは、動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とする法律です。
簡単に言うと、ペットの適正な飼育を求める法律です。
猫の遺棄や虐待は犯罪!
当然のことながら、猫を捨てること(遺棄)は動物愛護法違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
虐待も当然ながら動物愛護法違反で、適切な食事を与えないなどの場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられ、暴力をふるう等の場合は5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられます。
※法改正により令和7年6月1日より懲役から拘禁刑へと変わり、それに併せて禁錮はなくなります。本記事を令和7年6月1日以降にお読みいただく際は「懲役」を「拘禁刑」と読み替えてください。
飼育できなくなったからと外へ放置したり、多頭飼育崩壊によって十分な食事を与えないなどの場合も動物愛護法違反となる可能性があります。
猫は生き物であり命があるので、このようなことは絶対にしてはいけません。
登録とマイクロチップの装着
犬猫等販売業者は、犬又は猫を取得したときは、所定の期間内に犬又は猫にマイクロチップを装着し、環境大臣の登録を受けなければなりません。つまりペットショップやブリーダー等はマイクロチップの装着が義務付けられています。
一方で犬猫等販売業者以外の犬又は猫の所有者は、その所有する犬又は猫にマイクロチップを装着するよう努めなければならないとされており、義務(必須)ではなく努力義務とされています。
よって、猫を保護した場合はマイクロチップの装着は必須ではありませんが、装着することが望ましいということです。
ペットを購入するときは必ず対面で
ペットショップやブリーダー等は、当該動物を販売する場合には、あらかじめ、動物の現在の状態を直接見せるとともに、対面により書面等で当該動物の飼養又は保管の方法、生年月日、当該動物に係る繁殖を行つた者の氏名等を提供しなければなりません。
よって、対面販売ではないオンラインのみでの販売は違法ですので、ペットを購入される方は必ず対面でやりとりすることが必要です。
狂犬病予防法
狂犬病の発生を予防し、そのまん延を防止し、及びこれを撲滅することにより、公衆衛生の向上及び公共の福祉の増進を図ることを目的とする法律です。
犬の飼い主は、犬を飼い始めた日から原則として30日以内に市町村長(東京都においては区長)に犬の登録を申請しなければなりません。また、年1回の狂犬病の予防注射も義務付けられています。
一方で猫については、犬とは異なり狂犬病予防法上の登録や年1回の狂犬病予防注射は義務付けられていません。
民法
民法とは、私人間の生活において一般的に適用される法律です。
猫は「動産」にあたり、民法では物として扱われます。命があるのに「物」というと聞こえがあまりよくないですが、民法の世界では「人」と「物」しか存在しないのが原則であるため、このような取扱いとなっています。
猫が他人に迷惑をかけたら飼い主が責任を負う
民法718条では、「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。」
と定められており、飼い主はペットの管理責任を負います。
例えば
・飼い猫が他人の家に入り、家具を傷つけた
・猫が他の人の猫にけがをさせた
という場合、飼い主が責任を負う可能性があります。
また、飼い主の故意・過失が認められると不法行為(民法709条)の責任を負う場合もあります。
猫は売買の対象になる
民法上、猫は「動産」として扱われるため、ペットショップでの購入や、ブリーダーからの購入といった売買契約の対象物となります。
猫は相続の対象になる
こちらも考え方としては売買と同様で、飼い主が亡くなった際には相続財産となり、飼い主の相続人の猫となります。
遺言書で「○○さんに遺贈する」として遺贈(遺言書のとおり所有権を移転すること)もできます。
刑法
刑法とは、犯罪に対してどのような刑罰が科せられるかを規定した法律です。してはいけないことを規定した法律ともいえます。
窃盗罪
刑法でも民法と同じで、猫は物として扱われます。
よって、他人の猫を盗んだりすると窃盗罪となり、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることがあります。
器物損壊等
他人の猫を傷つけたりすると、器物損壊罪となり3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処せられる場合があります。
まとめ
今回は、法律に絞って猫を飼うにあたっての知るべきことを解説しました。
猫を飼う際には、動物愛護法や民法など、さまざまな法律が関係します。トラブルを防ぎ、猫と快適に暮らすためには、適正な飼育と近隣への配慮が重要です。
猫も大切な家族の一員。法律を守りながら、責任を持って愛情を注ぎましょう。


