外国人技能実習制度において、実習生の受け入れを適切に管理・監督する役割を担う「監理団体」。この監理団体は、一定の法人格を持つ団体に限って設立が可能です。その中でも公益社団法人は社会的信用性の高さから監理団体としておすすめの法人形態です。今回は、公益社団法人として監理団体を設立する際の要件や手続きについて解説します。
公益社団法人とは?
公益社団法人とは、一般社団法人のうち、公益目的事業を行うものとして行政庁の認定(公益認定)を受けた法人をいいます。行政庁は内閣総理大臣又は都道府県知事です。
公益社団法人には以下のような特徴があります。
- 営利を目的とせず、広く社会全体の利益を目的とした事業を行う
- 会員の利益ではなく、「公益目的事業」を主とする
- 所轄庁(内閣府または都道府県)による厳格な監督を受ける
- 毎年、事業報告や計算書類などの提出義務がある
公益認定を受けるには、まず一般社団法人を設立する必要があります。活動の内容や財務の状況、人員体制などに厳しい基準があり、設立後の運営にも高い透明性が求められます。
一般社団法人が公益認定を受けるためのハードルは非常に高いため、公益社団法人は設立するのが難しい法人の1つといえるでしょう。
監理団体とは?
監理団体とは、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(以下、技能実習法)に基づいて設立される団体で、技能実習生を受け入れる事業者(実習実施者)を監督し、実習が適切に行われているかを確認・指導する団体です。監理団体として全国で1500以上の団体が活動しています。監理団体が監理事業を行うには、主務大臣の許可を受けなければなりません。
監理団体が行う事業には、特定監理事業と一般監理事業があります。
特定監理事業とは、第1号団体監理型技能実習又は第2号団体監理型技能実習のみを行わせる団体監理型実習実施者について実習監理を行う事業をいいます。
一般監理事業とは、特定監理事業以外の事業をいい、優良な監理団体として第3号団体監理型技能実習を行わせることができます。
監理団体になれる法人の種類
監理団体として認められるには、以下の法人格を有する必要があります。
- 事業協同組合
- 商工会・商工会議所
- 中小企業団体
- 農業協同組合
- 公益社団法人
- 公益財団法人 など
その中でも、公益社団法人として設立する場合は、他の法人格と比較して設立手続きや運営に高度な公益性・透明性が求められます。
公益社団法人として監理団体を設立する流れ
公益社団法人として監理団体を設立には、高いハードルを乗り越える必要があります。
ステップ1:一般社団法人の設立
まずは一般社団法人として設立し、その後に公益認定を受ける必要があります。
司法書士としては、定款の作成や法人登記の支援を行うことが可能です。
一般社団法人については、過去記事にもありますので併せてご参照ください。⇒一般社団法人とは?NPO法人との違い・設立メリットとデメリットを解説
ステップ2:公益認定申請
内閣府または都道府県(主たる事務所の所在地による)に対して「公益認定申請書」を提出します。本記事では公益認定にかかる細かい解説は省略します。申請には公益認定申請書を提出しなければなりません。
公益認定を受けるには、公益目的事業を行うことを主たる目的とするものであることや、その事業を行うに当たり、社員、評議員、理事、監事、使用人その他の政令で定める当該法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであることなど、厳しい審査基準がいくつもあります。この審査には数ヶ月かかることもあります。
公益認定を受けるためのハードルは非常に高く、一般社団法人設立の時点で、全面的な専門家のサポートが欠かせません。
ステップ3:監理団体としての許可申請
主務大臣へ監理団体としての申請を行います。公益認定の申請と並行して行うとよいでしょう。
- 適切な体制(専任の職員、監査体制)
- 財政的基盤
- 過去に不正のない団体であること
- 技能実習生の保護体制が整っていること
などが求められます。
不正があると監理団体の許可を取り消される可能性もあります。
公益社団法人による監理団体設立のメリット
上記に記載した通り、公益社団法人は非常に厳しい審査を受けて設立されるため、社会的信用が非常に高いのがポイントです。監理団体としては、他の法人に比べ、この高い信用が大きなメリットになるでしょう。
なお、公益認定を受けず一般社団法人のまま監理団体となることはできないので注意しましょう。
まとめ
公益社団法人として監理団体を設立するには、複数のステップと厳格な基準をクリアする必要があります。特に公益認定を受けるためのハードルは非常に高く、専門家による全面的なサポートが欠かせません。その分、公益社団法人は社会的信頼も高く、長期的な運営にもつながります。監理団体の設立を検討されている方は、早めに専門家に相談されることをおすすめします。


